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読書記録〜旅行記とエッセイの夏
この夏はほとんど小説は読まず旅行記ばかり読んでいました。

b0062149_2028949.jpg『カシタンカ・ねむい』
『可愛い女、犬を連れた奥さん』(チェーホフ、岩波文庫)

戯曲というジャンルが苦手で読んでいなかったチェーホフの短編集が出たので読んでみたところ、とても面白かった。もっと感情に訴えるタイプの作品なのかと思っていたら、わりと冷めた目線で語られていてしみじみとした気分にさせられます。神西清の訳もすばらしく、日本語の文章も堪能しました。

『アジアロード』(小林紀晴、講談社文庫)
『いつも旅のなか』(角田光代、角川文庫)

旅行記読書の皮切りは鮮やかな写真がたくさん散りばめられた『アジアロード』。しかし、現地の実情に触れたり、人びとと交流したりしても、結局筆者が行き着くのは「自分探し」であって、ある種のナルシスティックな雰囲気が常に漂っているのがなじめませんでした。写真はいいのに・・ 後者は人気作家(小説は読んだことがありません)の旅に関するエッセイで、楽しく読めました。でも知らない人にあんなにたやすくフラフラついていって大丈夫なのだろうか。


b0062149_20394929.jpg『イカ干しは日向の匂い』(武田花、角川春樹事務所)

この人のモノクロームでちょっと寂しい写真と母百合子さんからセンスを受け継いだような文章がとても好きです。彼女が被写体にする猫さんたちもワイルドでブサ可愛くて(表紙の猫さんは美人さんですが)いい。








b0062149_20475942.jpg『謝謝!チャイニーズ』
『転がる香港に苔は生えない』
『銭湯の女神』(文春文庫)
『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)
『迷子の自由』(朝日新聞社、以上星野博美)

変換前後の香港へ留学、その後中国を旅した筆者の中国への思いがあふれた記録の数々。その真面目な文章からは、今の時代と折り合いをつけるのに苦労してそうな不器用で頑固な性格がにじみでていて、それがまたいいのです。女性のエッセイとしてはあまり見ないタイプの人で好き嫌いが分かれると思いますが、これからも文章を書き続けてほしい人(本業はカメラマンだけれど)です。

『何でも見てやろう』(小田実、講談社文庫)
『もの食う人びと』(辺見庸、角川文庫)

以前新聞でおすすめ旅行記として挙げられていた本です。小田実は社会活動家、というイメージが強かったのですが、ここでは好奇心旺盛でバイタリティーあふれる向こう見ずな小田青年が、わずかばかりのお金で欧米からさらにはインドまで旅し続ける過程が語られています。タイトル通り何にでも興味を抱き飛び込んで行く姿勢が潔く痛快です。後者はこちらもタイトルが示すごとく「食べる」という観点から世界各国を旅した記録で、深刻な問題を抱える地域が選ばれているにもかかわらず、文章は説教臭いわけでもなくとても面白く読めます。新聞で取り上げられていた旅行記はヒットなものが多かったなあ。もう一作ずっと探していた犬養道子の『お嬢さん放浪記』(中公文庫)も先日ブックオフで見つけてようやく読めましたが、こちらも秀作。

『古道具 中野商店』(川上弘美、新潮文庫)

読みたかった小説が文庫化されたので早速購入。古道具屋、というのはとても魅力的な職業だし、川上作品では好きな方。脇役ながら、とてもエロティックな文章を書くサキコさんの存在が効いています。

b0062149_1182633.jpg『シズコさん』(新潮社)
『役に立たない日々』(朝日新聞出版)
『ふつうがえらい』
『がんばりません』(新潮文庫、以上佐野洋子)

絵本は全然読んだ事がないんですが、エッセイの文章がとても好きな佐野さんの本を一挙に4冊読書。歯に衣着せぬ、というか裏表のない表現を読むと、いつも元気をもらえます。しかしその彼女を今の彼女たらしめたのは、母親との関係が大きく関わっているのだなあと考えさせられたのは『シズコさん』です。4冊のなかでは『役に立たない日々』の長いスパンに渡る文集が面白く、韓流に目覚め、ヨン様〜ビョン様から果ては長瀬〜妻夫木という「男遍歴」が楽しい。ガンで余命幾ばくもない、という彼女のほうからこれほどのバイタリティを頂くという不思議さ・・
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by poyance | 2008-09-19 21:09 |
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