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長江哀歌(ジャ・ジャンクー、2006年、中国)
b0062149_2314050.jpgDVDにて鑑賞。やがてダム建設により水没する街、奉節に16年前に別れた妻子を見つけに山西省からやってきたハン・サンミン(ハン・サンミン)と同じく山西省から行方不明の夫を捜しにきたシェン・ホン(チャオ・タオ)の物語。

ヴェネツィア映画祭グランプリを受賞し、近年ますます評価が高まりつつあるジャ・ジャンクー作品を観ました。「世界」のスタイリッシュな映像とはうってかわって、今回は初期作品「一瞬の夢」を思わせるような、ソリッド感のない素朴な映像です。山水画のような美しい自然の風景と、対照的な廃墟、そしてそれをバックにたたずむ人びとの図が強烈です。相変わらず物語は感情的な起伏も少なく淡々と進みますが、ハンがひょんなことで出会う若者マーク(チョウ・リン)のエピソードがいくぶんアクセントとなって、全体を引き締めているように感じます。

ただ、UFOらしき物体や建物がロケットのように飛んで行く幻想的なシーンは、少々突拍子なく感じました。監督によると急速に変化する現状への違和感を表したものらしいけれど、わかりにくい表現だと思います。ところどころに出てくる小見出しも不思議で、「世界」のアニメーション挿入についても思ったのだけれど、監督はかなり独特の感覚の持ち主のようです。

ジャ・ジャンクー作品はとても好きだし、この作品も悪くはないと思うのですが、「世界」や「青の稲妻」のほうが鋭いものを感じたし、映画祭グランプリ受賞作、はたまたキネ旬外国語映画第1位か、という点では、ちょっと疑問が残ります。あまりにも地味な作品なので、受賞作とかメディアの評価が高いからという理由でこの映画を観るとちょっと辛いんじゃないでしょうか。現に家人は30分で沈没してました・・ 基本的にアジア映画が苦手な家人を今回も感心させるには至らず・・

俳優はいつもの面々ですが、監督を含め彼らはもともと北部出身者なので、今回は来訪者という形で役柄を与えられたそうです。相変わらずフォトジェニックという形容詞からほど遠いですが、ドキュメンタリーかと思うくらい自然な演技に徹していました。「一瞬の夢」「プラットホーム」の主演ワン・ホンウェイが、ゲスト的に考古学者役で出演していて、監督の話では今回は初めてのインテリ役で喜んでいたそう(笑)。

ところで今年のカンヌ映画祭にも新作「24 City」がコンペにノミネートされているジャ・ジャンクー。連れ立ったチャオ・タオがショートカットにシンプルなドレスで垢抜けてチャーミングな女性になっていました。
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by poyance | 2008-05-24 03:10 | 映画
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