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ノーカントリー(ジョエル&イーサン・コーエン、2007年、アメリカ)
b0062149_22152693.jpg某スクリーンにて鑑賞。偶然に見つけた麻薬がらみの大金を持ち逃げしたルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は、その金を追う殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)に追われることになる。一方で事件を追う保安官エド(トミー・リー・ジョーンズ)は、ルウェリンの妻カーラ・ジーン(ケリー・マクドナルド)のもとを訪ねる・・

いままでなら、犯罪を扱うにしてもどこか抜けた部分があったコーエン兄弟作品ですが、今回は終始緊張感が漂い、途切れることなく持続しています。そして物語に救いがない。いまの犯罪のあり方が理解できないという保安官の嘆きが変わることはなく、不可解なものに対してカーラ・ジーンが最後に見せる毅然とした態度も報われない。そして、これらの事の発端がルウェリンがふと起こした親切心である、ということなど非常に厳しい内容を冷徹に描いています。派手にすることなく抑えたタッチで進む映画をどきどきしながら観ることができました。終わり方はあっけない、といえばあっけないですが、冒頭のナレーションと呼応していて、語り手が保安官であるということ、そして彼の語りの枠組みのなかで物語が進行する、という構成がはっきり浮かび上がっています。コーエン兄弟作品では「バートン・フィンク」や「ファーゴ」に並ぶ傑作といえるでしょう。

b0062149_1514040.jpg主人公はいちおう保安官なのだけれど、作品を観れば誰でもこれはアントン・シガーを中心に据えたと思われるでしょう。ルウェリンや保安官といったいわゆるまともな人間よりも、独自の原則で動き、普通の人なら理解に苦しむキャラクターをクローズアップすることで、「人間」というものの不可解さや恐ろしさがわれわれに提示されているように思います。その異様なあり方を、これまでは色気のある男っぽい俳優さんというイメージだったハビエル・バルデムが強烈に演じています。






b0062149_202159.jpg彼があまりにも鬼気迫る演技をしているので、ほかの俳優さんたちがかすみがちなのですが、それぞれ皆よかったと思います。トミー・リー・ジョーンズは彼のイメージ通りの地方の保安官で、数ある警察関係役のなかでも好きなキャラクターです。ルウェリン役のジョシュ・ブローリンも地味ながらよかったし。そして、最近よく観るケリー・マクドナルド、彼女の根底に感じられる健康的なところがとても好きなのですが、ここでもそれが活かされているように思いました。今回ルウェリン、アントン、保安官を使ったポスターがいい感じなので3点とも載せてみました。

ところでルウェリン役は、当初ヒース・レジャーという話もあったようです。彼の演ずるルウェリンも観てみたかった。それが実現されることは決してないからいっそう・・
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by poyance | 2008-03-17 22:20 | 映画
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