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たみおのしあわせ(岩松了、2007年、日本)
b0062149_12244320.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。その昔、竹中直人主演のドラマ「恋のためらい」がとても好きだったのだが、その脚本を書いていた岩松了(俳優としての彼も好きだ)が十何年かぶりに撮った映画である。観始めるとすぐに、「恋のためらい」で味わった空気が漂ってきて、懐かしく嬉しかった。

岩松さんは演劇畑の人で、やはり脚本が面白い。日付ごとのエピソードの終わらせ方も絶妙。もちろん映画は登場人物どうしの会話が軸になって展開するのだが、だからといって三谷作品に感じられるような演劇臭さはほとんどなく、時折挿入される小津安二郎風なショットなど、撮影や編集にも映画的なセンスが感じられる。ある映画の大変有名なシーンを思いがけない形でパロった(こんなパロディの仕方は今までなかっただろう)ラストシーンが笑える。上で小津安二郎、と書いたが、今考え直してみると、作品全体は「晩春」のパロディ(この表現が軽すぎるならオマージュ、あるいはリメイク、と言ってもいい)ではなかろうか?(後で検索してみたら、観た人のそういう言及がいっぱい出てきた)

大した事件も起こらないし、日々の出来事を淡々と綴った形なので、昨今のユルい系映画と一緒にされそうだが、この映画には常に冷たくていじわるな視線があり、日常のちょっとした場面から人間の弱さやずるさを描き出している点で、そういった映画とは一線を画している。最近の邦画の単純さや幼稚さに辟易していたので、この映画は大人っぽさは魅力的だった。岩松さん、もっと撮ってくれたらいいのにな〜。

家にこもりがちな地味な息子という役柄は、オダギリジョーには色気がありすぎて少々無理があったような気がする。民男のダサい私服やパジャマは彼の身にぜんぜん馴染んでなかったし。本来ならばこういう役は加瀬亮あたりが演じそうだが、父親がこれまた原田芳雄という濃いキャラクターなので、見た目のバランスが悪くなってしまうだろうから、このキャストで仕方ないのかもしれない。その他のキャスティングはもう適材適所、という感じで、大竹しのぶの使い方も相変わらずすばらしい。ここでもまた麻生久美子がオヤジを惑わす娘として登場しているが、それもよかった。忌野清志郎もチョイ役で出てきていて、ちょっと切なかった。
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by poyance | 2009-09-08 12:53 | 映画
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