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抱擁のかけら Los Abrazos Rotos
b0062149_1191268.jpg監督:ペドロ・アルモドバル
公開年、製作国:2009年、スペイン

MOVIX堺にて鑑賞。待望のアルモドバル新作。マテオを中心とする現在、過去の回想、マテオが撮影したフィルム、エルネストJr.が録画したビデオなど、さまざまな次元の映像が登場するが、物語の筋はさほど複雑ではなくわかりやすい。一方で全体的にまとまりが弱く、かつ『ボルベール』のようなエネルギーや力強さに欠けているように思う。昨年のカンヌに出品されたときに「前作ほどではない」という評を見ていたから、ある程度予想はしていたものの、アルモドバルファンの家人にはかなり物足りなかったようである。

とはいえ、監督の映画愛が今回も随所にあふれていて、それは堪能できた。ペネロペ演ずるレナに、オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンロー風のコスプレをさせたりするのを始め、往年の名画のポスターや映像をあちこちに散りばめ、またそれがカラフルなインテリアとマッチしている。冒頭レナがとある「アルバイト」をするときの変名が、「セブリーヌ」というのも、『昼顔』へのオマージュなのだろう。そして究極は、マテオが映画を復讐の手段として使うのをあきらめ、恋人への愛情表現へと転換させることである。エルネストJr.ですら、自分の映像にマテオへの思いを込めているのだ。

またマテオが撮る映画『謎の鞄と女たち』が、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』と内容が酷似しているのも面白い。監督はこのシーンをとても楽しんで撮ったそうで、スピンオフ企画でこれも何かの形で公開してくれたらいいのにな。

『ボルベール』ほどの迫力はないとしても、今回もペネロペは気丈な女優レナを好演している。スペイン語を話しているときの彼女はやはり生き生きとしてよい。90年代のバブリーなファッションを着こなすゴージャスな姿が好きだった。読唇術者として登場するロラ・ドゥエニャス(このシーンがおかしい)など、常連俳優も多く、かつ絶妙なキャスティングが楽しい。
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by poyance | 2010-02-12 01:37 | 映画
ブーリン家の姉妹 The Other Boleyn Girl
b0062149_2261525.jpg監督:ジャスティン・チャドウィック
公開年、製作国:2008年、イギリス/アメリカ

WOWOWから録画したものを鑑賞。父親とおじによって政治的道具とされた2人の娘アンとメアリー。イギリス史にはうといのだけれども、イギリスがカトリックから離れるきっかけとなったのが国王の欲望がらみだったというのは本で読んでいたので、その記憶を思い出しつつ興味深く観た。ときおり絵画のような構図や色合いのはっとさせるような映像が見られるが、物語は可もなく不可もなく、という感じである。

初めナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの配役は逆のほうがいいのでは、と思った(そう思った人は多いと思う)が、映画を観るにつれ、賢く野心家な姉アンにナタリーのきりりとした容貌が、たおやかで従順、かつ肉感的な妹メアリーにスカーレットの柔らかい雰囲気がぴったりしてきて、なるほどと思わせるキャスティングだった。弟役のジム・スタージェスがチャーミング。エリック・バナは前からちょっと苦手だったのだが、今回の国王役も、その性格も手伝ってか生理的に受け入れられなかった。それからそれから、王妃役に『ミツバチのささやき』のアナ・トレントが! 彼女ももうこんないいお年になってるんですね〜。役柄も手伝って気品のある風情が漂ってました。

監督はその昔、『ロンドン・キルズ・ミー』(1991)という映画で靴がない〜と大騒ぎする主人公を演じていた人ですね。今は監督業をやっているんですね〜。
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by poyance | 2010-02-11 22:24 | 映画
HACHI 約束の犬  Hachiko: A Dog's Story
b0062149_20332687.jpg監督:ラッセ・ハルストレム
公開年、製作国:2008年、アメリカ

レンタルDVDにて鑑賞。前にも述べたと思うが、私の好きな犬種はシェパードと秋田犬である。前者はいろいろな映画で見かけるけれど、秋田犬は、特に洋画ではめったにお目にかからないので、こういう映画が作られると出来不出来関係なく観たくなる。今回は監督がラッセ・ハルストレムだからそうひどくはないだろうと思いつつ鑑賞。もちろんあの日本の忠犬物語をリメイクしたものだが、別に日本犬でおまけに名前も踏襲せずともよかっただろうに(リメイクの契約でそういう条件でもあったのだろうか??)。まあ秋田犬は主人以外になかなか心を許さないそうで、その性質を物語に活かせるからいいとして、日本から送られてきたという設定とかはちょっと意味不明でした。もっとも秋田犬さえ観られればいいので、これ以上文句は言いませんが。

b0062149_20445685.jpgとはいうものの、この監督らしくヘンに盛り上げたりせず淡々と撮られていて、93分という短さもありダレずに見られる。この映画のハチはすごく出来た犬ではなく、わりとダメ犬で、言うことを聞かなかったりいろいろ問題はあるけれどパーカー教授への愛情はゆるぎない、という描かれ方だったので、逆にすごく涙腺が刺激された。あのボール遊びのくだりが「行かないで」のサインだったと気づいたときはまた号泣(服をひっぱったり通せんぼをしたり、というのではないのが泣かせる)。

年とってからの枯れたリチャード・ギアってとても好きなんですよね〜。犬に好かれる教授役はとても合ってました。ワンちゃんは子犬時代は柴犬を使っていたらしいが、成犬になってからは可愛い秋田犬でした。ああ私も愛情全開で飛びかかられたい・・
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by poyance | 2010-02-11 20:54 | 映画
ブロークン・イングリッシュ  Broken English
b0062149_20144044.jpg監督:ゾーイ・カサヴェテス
公開年、製作国:2007年、アメリカ/フランス/日本

WOWOWから録画したものを鑑賞。これまたフランス人とアメリカ人の恋愛話だが、今回は仕事はできるけどプライヴェートはうまく行かないアメリカ女性ー天から降ってきたような癒し系のフランス男という設定になっていて、ジュリー・デルピーの映画とはぜんぜん違うのが面白い。「ミラクル・ラブロマンス」という宣伝コピーが語るように、都合のいい物語の展開はうーんと思うが、疲れきったときに観るにはこれぐらいでもいいのかもしれない。

明るい映像は大変美しいのだが、ときおりきれいすぎてファッション写真ぽく見えてしまう。名監督の娘という肩書きが妙な偏見を与えるのかもしれないが、ソフィア・コッポラがお友達で、母親ジーナ・ローランズにも出演してもらい、その他の出演者もキレイな人ばかり(ホテルの従業員がみんなモデルのよう)、監督曰く「楽しく」撮影された作品となると、どうも「セレブ映画」という表現が浮かんでしまう。第2作で彼女の本当の真価が問われことになるだろう。

意地悪なことばかり書いたが、主演のパーカー・ポージーはとても魅力的だ。彼女が着ているお洋服がまたみんな可愛らしい(だからファッション写真みたいなのだが)。ジュリアン役はメルヴィル・プポーだが、若い頃と比べてかなり雰囲気が変わってきたようだ。
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by poyance | 2010-02-10 20:30 | 映画
パリ、恋人たちの2日間 2 Days In Paris
b0062149_14324987.jpg監督:ジュリー・デルピー
公開年、製作国:2007年、フランス/ドイツ

WOWOWから録画したものを鑑賞。『汚れた血』を初め、若い頃女優としてとても好きだったジュリー・デルピーの監督映画(詳しく言うと、監督・脚本・製作・音楽・編集・主演を担当)。アメリカ暮らしが長いとはいえ、やはりフランス人気質が映画にも表れていて、会話主体で物語が進んでいく。あまりにもあけすけなマリオンとその家族、そして彼女の母国で過ごしたわずか2日の間に次々と過去が明らかになり困惑する神経質なジャックには、パリジェンヌとニューヨーカーがデフォルメ&カリカチュアライズされていて、お互いのどこがいいのかわからなくなるほど両者は常にシニカルな視線で捉えられている。コメディタッチでどんどん進んでいくが、終わり方はやっぱりフランス映画っぽい。

旅行の最終行程でパリに入ってきたという設定なので、2人は終始疲れた感じなのだが、それでもジュリーは結構お年が顔に表れてきているような気がする。もっともそういうことは気にしなさそうな彼女だし、自分の映画だからとても楽しそうにマリオンを演じている。ジャック役のアダム・ゴールドバーグは実際の元カレだそうだし、「別れた恋人たちとはみんな友だち」とのたまうマリオンの性格は結構ジュリー自身に似ているのかもしれない。父親役で、本当のお父さんアルベール・デルピーが出てきてます(彼は昔『天使の接吻』という映画でもジュリーと共演、そのときはおじさん役だった)が、彼もぶっとびな演技っぷりです。
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by poyance | 2010-02-09 14:52 | 映画
お熱いのがお好き Some Like It Hot
b0062149_1412829.jpg監督:ビリー・ワイルダー
公開年、製作国:1959年、アメリカ

録画DVDにて鑑賞。恒例の新年は楽しい映画から、ということで家人がまだ観てないというこの映画をチョイス。私はすでにTV放映で観ているが、コメディ映画としてはベスト3に入るくらい大好きなので、何度観ても楽しい。女装した男2人がなぜ誰にもばれないで逃げのびられているのか、というツッコミは横に置いとくとして、「ドタバタ」と銘打たれていても飽くまで品のよい笑いに徹していて、お正月にはピッタリの映画だと思う。脚本もテンポよく進み、終わり方も洒落ている。

ジャック・レモンのコメディアンとしての才能を堪能できる作品といえるが、何といってもここではマリリン・モンローがすばらしい! ゴージャスで、マシュマロみたいな肌を大胆に露出し、それでいて下品でない。映画撮影時にモンローは相当調子がおかしくて、監督を怒らせてばかりいたとかいう逸話も聞くが、画面上に映る可愛くてお人好しのシュガー(名前がすでにその全容を表現している)からは、女優としての彼女のよさが十二分に伝わってくる。

この後続けて『七年目の浮気』も観たのだが、こちらはテンポが遅く、モンローもあまりうまく使われていない気がする。何より主人公の性格が好きになれない。同じ監督でもこうも違うものなんですね・・
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by poyance | 2010-02-08 14:28 | 映画
2009年度私的ベストテン
気がつけばもう2月。年々ベストテン発表が遅くなってますが、今更ながら去年の10本を選んでみたいと思います。FBNにもベスト3を発表しましたが、昨年何らかの形で出たものに限っていたので、こちらは去年観たすべての作品から。


第1位
b0062149_218568.jpgゼア・ウィル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン、2007年、アメリカ)

映像、物語ともども圧倒的なものを感じた。切れ切れに観たのに、今も強烈なイメージが頭に残っている。ベテランと若手の俳優の技量のぶつかり合いも見応えあり。


第2位
b0062149_219842.jpgイングロリアス・バスターズ(クエンティン・タランティーノ、2009年、アメリカ)

『デス・プルーフ』の後だし、マカロニ・ウェスタン、と聞いていたのでどうなることやらと思っていたが、こちらの不安を吹き飛ばすような快(怪)作をまた作ってくれた。何といってもクリストフ・ヴァルツがすばらしい。


第3位
b0062149_2202081.jpgリミッツ・オブ・コントロール(ジム・ジャームッシュ、2009年、アメリカ)

賛否両論のジャームッシュ新作だが、私は結構好き。抽象的だけれど、彼の基本は変わっていないと思う。おなじみのキャストもよし。


第4位
b0062149_2212219.jpgグラン・トリノ(クリント・イーストウッド、2008年、アメリカ)

常にニュートラルな立場からものごとを眺めようとするスタイルが、自然な形で表れていて、ここ数年のイーストウッドものではいちばん好きだ。俳優業は本当に引退しちゃうのかな。


第5位
b0062149_222955.jpgトーク・トゥ・ハー(ペドロ・アルモドバル、2002年、スペイン)

昨年我が家はアルモドバル・ブームだった(遅い・・)。いろいろ観たなかから1本選ぶのは難しいが、記憶にいちばん残っているこの作品を代表としておく。早く新作の「抱擁のかけら」も観たい!


第6位
b0062149_2225028.jpgたみおのしあわせ(岩松了、2007年、日本)

邦画には常々辛口になってしまうのだが、これは久しぶりに楽しく観ることができた。甘ったるい内容の日本映画が多いなか、この作品は映画中に散りばめられたピリリとした皮肉がたまらない。岩松さんにはもっと映像分野に進出してもらいたい。


第7位
b0062149_2232578.jpg4ヶ月、3週と2日(クリスティアン・ムンジウ、2007年、ルーマニア)

なんで、と思うような物語の展開も強引に納得させてしまうような、寒々しい色合いの映像がとても印象的だった。東欧の若手にも面白い映画を撮る人がいると知って、もっといろいろ観たくなった。


第8位
b0062149_224221.jpgラースと、その彼女(クレイグ・ギレスピー、2007年、アメリカ)

甘い、と言われれば甘いのかもしれないけれど、それが許せるような作りである、ということもこの映画の優れた点なのではないだろうか。繊細なラースを観ているこちらもそっと見守りたくなる、本当に優しい映画。


第9位
b0062149_2252036.jpgハプニング(M・ナイト・シャマラン、2008年、アメリカ)

この監督に関してはひいき目で見てしまうのかもしれないけれど、いつも映像のセンスにはハッとさせられる。今回はわかりやすい解決(簡単に言えばモンスター)を出さずに余韻を残す終わり方にしたのもよかった。


第10位
b0062149_22644.jpgベンジャミン・バトン 数奇な人生(デヴィッド・フィンチャー、2008年、アメリカ)

ファンタジーは従来苦手な分野なのに、「ゾディアック」と同じくらい、誠実に映画と向き合っている姿勢が感じられて長丁場をとても楽しめた。とりわけ女優たちの演技が皆すばらしい。余談になるが、笑い飯の西田が「ガキの使い」の七変化でこれを何度かパロっていたのがツボだった(笑)。


やはり去年の鑑賞作品はハードディスク録画もの中心になってしまった。メディアに落としてそのままの映画も相当あるので、今年こそはそれらの映画も観ていきたい。新年はいつもそう決意するのだけれども・・
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by poyance | 2010-02-07 02:29 | 映画


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