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マッチ工場の少女(アキ・カウリスマキ、1990年、フィンランド)
b0062149_20365891.jpgDVDにて鑑賞。「街のあかり」を観たら他のカウリスマキものも観たくなり、これまた数作しか観ていなかったカウリスマキ・ボックスのなかから選んで鑑賞した。これもまた「敗者三部作」のひとつ(「街のあかり」の三部作とはまた違う。というよりも監督が描くのはもっぱら敗者ばかりなのだが)で、「街の・・」よりもさらに救いがない。そう考えると監督は昨今幾分丸くなったのだろうか。

今回も無声映画かと思うくらいのセリフの少なさと無駄のない展開が秀逸である。長年の常連カティ・オウティネンがまだ若くて、女の子っぽい服装をしているところなど微笑ましい。冒頭のマッチ製造のシーンが、ただ過程を追って撮っているだけなのだけれど印象的である。
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by poyance | 2009-06-22 20:48 | 映画
街のあかり(アキ・カウリスマキ、2006年、フィンランド/ドイツ/フランス)
b0062149_20472220.jpgDVDにて鑑賞。この映画は事情で家人だけが公開時に映画館へ観に行っていて、後日DVDで買ったまま引き出しの中にしまいこまれていたのだった。家人が「救いが本当にわずかしかない」と言うように、これは「孤独」がテーマとなっていて「敗者三部作」のなかでも最も不幸度数が高かった。エンディングが唐突で、「これではあまりにも・・」と思ったが再度観直してみれば、犬の存在やラストショットなど極力まで削ぎ落とされた希望のかけらが見いだされる。カウリスマキ作品のなかでもこれはとりわけミニマリスムに徹した映画だった。

夜の場面が非常に美しく、濃い暗闇にぼうっと浮かぶ光や、深い赤や緑の色彩が印象的である。フィンランドの街の風景や家のインテリアなどもスタイリッシュ(狙った感じでは決してない自然な様式美だ)で、人や犬が映る場面の構図もすばらしいし、とにかくどの場面を観るのも楽しかった。

カウリスマキものには珍しく、今回の主人公コイスティネンを演じるヤンネ・フーティアイネンは大変ハンサムな青年である。彼が負け犬役、というのは少し不自然かもしれないが、ほとんど表情を変えない(唯一笑っているのは刑務所でのシーンだ)なかに、物悲しさが漂っていてほろっとさせるのは、他のカウリスマキ作品の登場人物と共通している。犬の出番はわずかだが、雑種犬(だよね??)好きにはたまらない愛らしさだ。何でもこの犬は監督の愛犬だそうだが、映画のなかでは人だけでなく犬までも寡黙だった。

映画の冒頭に流れる曲が、「ボルベール」だったのも何だか嬉しかった。
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by poyance | 2009-06-21 21:57 | 映画
ジレンマの前座劇(フランソワ・オゾン、2006年、フランス)
b0062149_1585891.jpgスカパー(シネフィル・イマジカ)から録画したものを鑑賞。恋人の遅刻を許せない男が、最後通告をしたにもかかわらずやはり遅れてきた彼女に対して・・という物語で、馬鹿馬鹿しいといえば馬鹿馬鹿しい話が、美男美女のキャスティングと背景のシンプルなインテリアのおかげで、哲学的で崇高に描かれている。ルイ・ガレルのギリシア彫刻のような美貌(琴欧州にちと似ておりますが)と、ヴァイナ・ジョカンテの三つ編み&グリーンのコスチュームが白い背景に映え、こういうのは日本映画ではどう考えても無理だという劣等感を抱かせ、二人が画面に映っていれば、内容はもうどうでもいいとすら思えてくる。しかし、秀逸なのは彼らを見守るゲイの友人役であるマチュー・アマルリックであり、彼の存在が全体にスパイスのごとく効いているのがいちばん印象的である。
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by poyance | 2009-06-19 02:13 | 映画
トラベラー(アッバス・キアロスタミ、1974年、イラン)
b0062149_1453270.jpgスカパー(シネフィル・イマジカ)から録画したものを鑑賞。理解のない大人たちに囲まれて、自分のやりたいことをしたたかにやってやろうとする少年の描き方は、教訓的なエンディングを除けば、まさにイラン版「大人は判ってくれない」である。本人は小津安二郎が好きだと述べているそうだが、トリュフォーの影響大かと素人目にも思われるくらいである。子供たちを騙して写真を撮る場面や、最後の人のいないサッカースタジアムなどのショットは、ヌーヴェル・ヴァーグの映画かと思われるような洗練された映像だ。
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by poyance | 2009-06-19 01:54 | 映画
アフタースクール(内田けんじ、2008年、日本)
b0062149_2184243.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。前作「運命でない人」がカンヌで好評だった監督の次の作品。巧妙な脚本でいろいろ仕掛けがあると聞いていたものの、見事に騙された。キャスティングに疑問を感じていたら、それが伏線であったなど、仕掛けのもとは非常にわかりやすいものの、こうやすやすと信じ込まされていたことに驚く。また場と場のつなぎ方も非常にうまいので、ほとんどダレることなく作品が観ていられる、ということも昨今の邦画には珍しいことではないだろうか。

とはいえ脚本自体は卓越しているものの、この作品が映画でなければならない、という理由はあまり見いだせない。映像という観点からはあまり斬新さや意欲的なものを感じなかったので、テレビドラマでもいいんじゃない?と感じさせる部分がある(現に、この映画が何かわからずに観た家人が「これ2時間ものサスペンス? それともVシネ?」と問うてきた)。物語だけが目立って、ショットとかはほとんど記憶に残らないのが残念である。

キャスティングは脚本同様よく考えられたものであった。大泉洋はもともと好きなタイプの俳優だが、彼のよさがじゅうぶんに活かされた映画だった。その他のキャストは、特に劇団出身者は時として嫌らしさが鼻につくタイプの人が多いのだが、今回はそういうこともなく自然に感じられた。またキャスト一人一人を無駄にしない全体のつくりも好感がもてた。
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by poyance | 2009-06-12 02:35 | 映画
ビリディアナ(ルイス・ブニュエル、1960年、スペイン)
b0062149_20323611.jpgスカパー(ザ・シネマ)から録画したものを鑑賞。マノエル・ド・オリヴェイラを観ていてブニュエルが観たくなったのと、中原昌也がブニュエルの作品のなかでいちばん好きだと述べていたこともあって鑑賞。聖女のようなビリディアナがよかれと思ってしたことがすべてひどい結果を招き、カトリックがことごとくバカにされている(というわけで、当時教会から批判され、スペインとイタリアでは上映禁止となった)。しかし、宗教が意地悪い目で描かれてはいても、どろどろとした憎しみは感じられず、描き方に可愛らしいと思えるところすらあり、貧者たちが演ずる「最後の晩餐」などはその最たる例である。

ビリディアナは宗教にとらわれて、ひとびとの一面しか見えていない。色情魔のような叔父は、実は彼女にほとんど手を触れることもなく、慈善事業に無関心なうえ女たらしに見えたその息子も彼女を窮地から救った(さらにこの親子は二人ともハチや犬のような「小さき者」を苦しみから解放するのだ)。一方で彼女が助けた貧者たちは、あろうことか彼女を襲う(ハトを殺す、というのも叔父親子たちと対照的だ)。彼女が最後にヴェールを脱ぎ、携えていた茨が燃やされ、息子の前にすすんで現れるとき、彼女自身もようやく自分の真の姿にめざめたのであり、最も人間的に見える。

この映画では人々の足のショットが印象的だ。子供が縄跳びする足、着替えをするビリディアナの足、ソファの向こう側でからみあう男女の足・・おまけにハイヒールに足を入れるフェルナンド・レイのお姿まで拝める(笑)。
フェルナンド・レイはこの作品で有名になったそうだが、やはり出演者のなかで最も存在感のある人だった。

ところで、グーグルで「ルイス・ブニュエル 動物」で検索をかけたところ、候補一覧の見出しのなかに、
「アンダルシアの犬 by ルイス・ブニュエル(監・脚・演) 巨匠ルイス・ブニュエルと画家ダリ、2人の圧倒的な感性が生みだしたシュールリアリズムの最高峰! ... ロシアの大都会の中に迷い込んだ1匹のチビトラ猫とその仲間たちを描く、心温まる動物ドラマ」
と出て来たのがあって笑ってしまった。すごく誤解を招くはしょり方だな〜。
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by poyance | 2009-06-01 21:10 | 映画


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