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<   2009年 05月 ( 9 )   > この月の画像一覧
トロピック・サンダー/史上最低の作戦(ベン・スティーラー、2008年、アメリカ)
b0062149_2011639.jpgレンタルDVDにて鑑賞。このところずっとゲージツ的な映画ばかり続いたので、バカバカしいのを観たくなりチョイスした。最初の30分がダレダレでどうしようかと思っていたが、その後は何とか持ち直した。けれども全体的に笑いが中途半端で何がやりたいのかよくわからないところが多く、ただ悪趣味な面ばかりが目につく。監督としてのベン・スティーラーは、オバカ系のコメディに向いていないのではないかと思う。「リアリティ・バイツ」とかはよかったのにね〜

内容は期待できなさそうだったので、後半からはロバート・ダウニー・Jr.のなりきり演技と、トム・クルーズの悪漢ぶり、ニック・ノルティのグダグダぶりを楽しむことに徹した。ロバート・ダウニー・Jr.はさすがアカデミー助演男優賞にノミネートされただけあって、出演者のなかで突出している(逆にジャック・ブラックは下品さ極まりない役がこれまで演じてきたなかでも強烈なはずなのだが、わりと影が薄い)。トム・クルーズはその外見の変貌ぶり(頭だけでなく、腕にも注目)もすごいのだが、悪役を演じるときに生き生きしてくる邪悪さをたたえた目がよい。エンドロールのダンスシーンも必見。正義漢もよいけれど、こういう血も涙もない男みたいな役のほうが彼には合っていると思う。

結局映画がいちばん面白かったのは、最初のトレイラー部分と最後のアカデミー賞の場面だった。トビー・マグワイアとジョン・ヴォイト(最高!)が見ものである。
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by poyance | 2009-05-26 20:36 | 映画
シークレット・サンシャイン(イ・チャンドン、2007年、韓国)
b0062149_20421629.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。目下カンヌ映画祭でコンペティションの審査員を務めている監督の作品。若い未亡人が一人息子と見知らぬ土地で生活を始める(しかも生前夫は浮気までしていた)、という内容のわりにはドロドロした恨みつらみが出てこないなあと思っていたが、後半部になるとどんと重くなり号泣シーンも連続する。しかしこれまで観てきた韓国映画とひと味違って、作品は終始突き放したような客観的な描写に徹しており、甘ったるくなるところもほとんどないのが新鮮だった。

この作品を観る前にたまたまナンニ・モレッティの「息子の部屋」という似たような内容の映画を観ていたのだが、こちらは妙に家族愛が強調されているように見えて、途中で挫折してしまった。今回は悲しみを分かち合う家族もおらず独り抱え込む母親を冷めた目線で眺めている、というスタンスがソン・ガンホ演ずるキム同様、我々も彼女の心には真に入り込めないと言われているようで、こちらのほうがリアルに思えた。精神的に追いつめられた彼女が安易に立ち直ることなどないだろうし、救いがあるのかないのか宙ぶらりんな結末も妥当に感じる。前作の「オアシス」のほうが評価が高いようだし、こちらもぜひ観てみようと思う。

カンヌで女優賞を獲得した主人公シネ役のチョン・ドヨンの体当たり演技も印象的だが、何といってもソン・ガンホの存在感がすごく、そちらの方ばかりに目がいってしまった。忠実な犬のごとくシネに仕え、人は底抜けにいいが空気が読めず、シネのセリフにもあるように、まんま「俗物」であるキムという男を自然に演じていた。ピンクのシャツもお似合いである。
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by poyance | 2009-05-24 21:08 | 映画
永遠の語らい(マノエル・ド・オリヴェイラ、2003年、ポルトガル/フランス/イタリア)
b0062149_20413962.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。遊覧船で都市を点々としながら、その都市の遺跡を訪ねるポルトガル人の母娘。美しい親子にさまざまな人々がさまざまな言語で語りかける。歴史、宗教、文明といった事柄が話題にされる根底には、言語によるコミュニケーションの問題が常に存在している。とはいうものの、映画のなかではほとんど何も起こることはなく、ゆったりした時間が流れていく・・

実はあまりにもまったりしているので、例のごとく3倍速で観ていたら、最後の急展開があまりにも衝撃的で再度ちゃんと観直したのだった。海に浮かぶ船はさまざまな歴史(時間)の間を移動するタイムマシンのような存在で、三人の婦人たちと船長が、それぞれの国の言葉で話しているのに相手にも通じているという、食堂のテーブルは一種のユートピアに見える。しかしながらそれはやはり海の上でたゆたうはかないものであり、厳しい現実が唐突に襲ったところで映画は終わる。ブニュエルの「欲望のあいまいな対象」を思い出させるラストは、それまでの流れが流れだっただけに、ショックはより大きかった。95歳の作だそうだが、「夜顔」に負けず劣らずこちらも前衛作品ともいえる不思議な味わいである。

ドヌーヴが出ていたのはこちらの作品だった。彼女とイレーネ・パパス、ステファニア・サンドレッリという3人の熟女を前に、船長役のジョン・マルコヴィッチのフランス語が妙にエレガントに響く。
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by poyance | 2009-05-22 21:03 | 映画
夜顔(マノエル・ド・オリヴェイラ、2006年、フランス/ポルトガル)
b0062149_2040484.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。この監督の作品は初見だったので、冒頭のコンサートの長い場面(全体70分に対してこの場面は10分近くある)のときはどうなることかと思ったが、次第に長回しにもはまってきて、最後の食事のシーンは妙に感動的だった(でも食べるの速いよ)。

ブニュエルの「昼顔」の後日談(正確には38年後、原題は "Belle toujours" で、「昼顔」の原題 "Belle de jour" になぞらえたもの)を描いたそうだが、もちろんそこにはオリヴェイラ監督独自の解釈が入っているわけで、ブニュエルのあの映画からそういう未来が想像できるかというと、何とも言えない。しかし38年経ってもユッソンは変わらない、というところは納得できた。結局何も起こらない、という結末も好きである。

中心の物語よりもその周辺の描き方が面白く、とりわけバーの場面は、ベッカム風なバーテン(何と監督の孫だそう)も含めてB級っぽい雰囲気が、ユッソンの「打ち明け話」と妙にマッチしていてよい。常連である「若い」女性たちの存在も効いている。それはユッソンとセヴリーヌが食事する重厚なインテリアのレストランと対照的である。レストランのシーンは、東洋人の持っていた箱や突然登場する雄鶏など、ブニュエルに対するオマージュが随所に感じられ、最後にギャルソンたちがテーブルを片付けながら幾度となく口にする「変わったお方だ」のセリフともども、ブニュエル好きの心をくすぐる演出となっている。

カトリーヌ・ドヌーヴはこのセヴリーヌ役を断ったそうで、ビュル・オジェが演じている。ドヌーヴのような妖艶さは全く感じられないビュル・オジェだが、この作品でのセヴリーヌの設定だと、ミッシェル・ピコリに負けず劣らず恰幅のよい現在のドヌーヴだと逆にミスキャストかもしれない。だが、ずっとドヌーヴが出演すると思い込んでいたので、この配役はやはり物足りなかった。逆にミッシェル・ピコリはあのユッソンそのままですばらしかった。
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by poyance | 2009-05-19 22:27 | 映画
ジェシー・ジェームズの暗殺(アンドリュー・ドミニク、2007年、アメリカ)
b0062149_2042635.jpgWOWOWにて録画したものを鑑賞。ジェシー・ジェームズという無法者が、仲間に裏切られて殺されるまでのいきさつとその後を、特に人物の心理面に重点を置いて描いたものだが、いかんせん2時間40分というのは長い。特にジェシーが死んだ後がだらだらしているように見える。丁寧に描こうとするのはわかるが、物語が散漫に感じられるところもあるし、ナレーションまで入れているのだから、30分は削れるのではないかと思う。

これだけ長い映画なのに、ジェシーに憧れて仲間に入ったボブが彼を裏切ろうと心変わりするのが急で、そのきっかけもよくわからなかった。またジェシーは美男子とはいえ重罪人なのだから、死後に大人気になり、一方で暗殺者ボブがあそこまで蔑まれる理由も現在の地点から見るとよくわからない。そういう時代だったのかもしれないが、もしそうならば映画からはあまりよく伝わってこなかった。

物語自体はそれほど・・だが、この映画はカメラワークが大変美しい。特にアメリカの広々とした風景(特に枯れ草ぼうぼうの草原や雪景色といったさびれたもの)の撮り方は色も構図もすばらしくうっとりした。撮影はコーエン兄弟作品を多く手がけるロジャー・ディーキンス。音楽はなんとニック・ケイヴで、本人も最後に出演して歌を披露している(が、ちょっとマヌケな感じである)。

ブラッド・ピットのジェシーは、彼の持つスターのオーラも手伝って悪くない。ボブ役のケイシー・アフレックは、30をゆうに超えているのに、線の細い20歳の若者にじゅうぶん見えるのがすごい(この辺が兄ベンと違うところか)。ジェシーを銃殺する直前の表情もよい。サム・ロックウェルはあまり好きな俳優ではないが、今回のボブの兄チャーリー役はとてもよかった。そしてジェシーの兄フランク役でサム・シェパード様が出ているが、年とったなあ・・・
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by poyance | 2009-05-18 21:07 | 映画
アルファ・ドッグ 破滅へのカウントダウン(ニック・カサヴェテス、2006年、アメリカ)
b0062149_2485223.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。実際にあった事件の再現ものであるが、一人の主人公に的を絞っているのか、群像劇なのかがあいまいな撮り方で、中途半端に見える。大げさな演出もなく、手堅い作りに見えるが可もなく不可もなく、という感じだろうか。ニック・カサヴェテスといえば父はもちろんジョン・カサヴェテスだが、息子はどういう路線を行きたいのか、今ひとつつかめない。

俳優陣は有名どころがズラリと並び、エミール・ハーシュ、ジャスティン・ティンバーレイクといった若手から、ブルース・ウィリス、シャロン・ストーン、そしてハリー・ディーン・スタントンも出ているのが嬉しい(演じている役はどうかな、と思うけれど)。誘拐されるザック役のアントン・イェルチン、エルヴィス役のショーン・ハトシー、そしてザックの兄役のベン・フォスターなどが記憶に残る。ベン・フォスターはどこかで見たことが、と思ったら「シックス・フィート・アンダー」のラッセル(クレアの元カレで美術の先生(男)とデキてしまう青年)だった。
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by poyance | 2009-05-18 03:01 | 映画
パンと裏通り(アッバス・キアロスタミ、1970年、イラン)
b0062149_2351875.jpgスカパー(シネフィル・イマジカ)から録画したものを鑑賞。「友だちのうちはどこ?」の監督のデビュー作で12分、というモノクロの小品であるが、アラビア文字のクレジットが出てこなければ、これこそヌーヴェル・ヴァーグの作品かと思えてしまうような映画である。音楽の使い方が抜群によくて、特に冒頭に流れる「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」がすばらしい。犬の吠え声の使い方も効果的である。犬映画としてもこれまで観たなかのベスト5に入るだろうか。
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by poyance | 2009-05-16 02:33 | 映画
人のセックスを笑うな(井口奈己、2007年、日本)
b0062149_1524088.jpgレンタルDVDにて鑑賞。FBNで「60年代のフランス映画のよう」と形容され、金井美恵子が(その姉ともども)珍しくケチをつけることなく褒めていた邦画ということで、相当の期待をもって観た。冒頭の、ユリがトンネルに駆け込み、みるめたちのトラックに乗り込む場面はおおっと思ったが、映画が進むにつれてこちらの気分は尻すぼみになってきた。

確かに、昨今の邦画に多い妙に感傷的な部分もなく、アドリブかと思わせる演出など、ヌーヴェル・ヴァーグの映画を思わせるような箇所は随所に見いだせるが、必要以上にロングショットが多いように感じる。もちろん長回しが効果的なところもあるのだが、無駄に思えるシーンも多く感じられた。またタイトルとエンドロール(途中の年賀状?のカットも)の処理や、音楽などが子供っぽく見えたのも気になった。監督が女性ということもあって、「女の子」なところが強調されているように思えてしまう。

個人的に邦画に対しては厳しくなってしまうのかもしれないが、あと一段階展開してもらいたかった。もちろん、最近の邦画のなかではクオリティは非常に高いと思うし、ヘンな路線へ進みがちなまったり系の映画のなかでは至極まともな作品である。でも山下敦弘の初期作品のほうが自分としては好みかな。

松山ケンイチがすごい、と聞かされていたが、確かに彼の演技は終始「素なのか?」と思わせるほど自然ですばらしかった。特にユリに服を脱げと言われた後の反応がいい。初めて彼が演じているのを観たのがこの作品でよかったと思う。しかし彼があまりにもナチュラルすぎて彼とからむ女優陣が逆に演技しているように見えてしまうのが難。永作博美はタバコを吹かすのは様になっているけれども、松山ケンイチの前だとどうしても「女優」として気張っているように見えてしまう。蒼井優ちゃんも好きな女優なのだが、彼女がはしゃぐほどに観ているこちらがつらくなってきた。

一方男優陣はなかなかいい。温水さんのすごくフツーな先生、忍成修吾の片思い青年、桂春團治のじいちゃん、そしてあがた森魚ののほほん亭主、みんな味があってよかった。
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by poyance | 2009-05-15 01:51 | 映画
グラン・トリノ(クリント・イーストウッド、2008年、アメリカ)
b0062149_2045208.jpgTOHOシネマズ西宮OSにて鑑賞。近年次々と新作をリリースしているイーストウッドだが、そのどれもが一定のクオリティを保っているのがすばらしい。この作品には、戦争、人種差別、銃、老い、などさまざまな問題が凝縮されているのだが、それが非常にさらりと、ユーモアさえ漂わせてまとめられている。

これまでの作品とは違うのは、セリフが非常に多いということで、そのほとんどを監督自身が演ずるウォルトが話している。セリフは時として説明的な内容も含んでいるのだが、妻を亡くして独り言が多くなり、かつ汚い言葉で言いたい放題の性格としてウォルトを設定したことで不自然ではなくなった。イタリア系の床屋(「ゾディアック」の容疑者!)という同じくらい口の悪い話し相手や、老犬というもの言わぬ話し相手の存在も効いている。

事前にいくらか情報が耳に入ってしまったので、結末は予想できていたが、ここもかなりあっさりしていたので、観賞後は爽やかな気分にすらなるのがクリント風というべきだろうか。冒頭と最後に葬式のシーンを持って来た構成がよく、いいかげんな服装の実の孫たちと民族衣装でおそらく最高の正装をしたタオとスー(二人とも素人だそうだが、好演)が対照的である。

最近の作品のなかでもこれはかなり上位に入る出来だと思うが、編集は結構大雑把ではないだろうか? シーンの終わり方の処理などが少々やっつけ仕事に見えるときがある。反対に音楽がすばらしく、その担当は監督の息子である。スーのボーイフレンド役でも別の息子が出演しているが、こちらはヘタレ役でオヤジに怒られていた。
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by poyance | 2009-05-13 20:43 | 映画


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