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ミスト(フランク・ダラボン、2007年、アメリカ)
b0062149_1545915.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。スティーヴン・キングものはついつい観てしまうのだが、これは今まで観たなかで最も暗い作品である。前半部のある女性のセリフが全体の伏線となっているとは思いもよらなかった。

「霧」という「白い闇」の表現が美しく、ラストシーンに至るまで効果的に用いられている。極限的な状況に陥らせた原因そのものは横に置かれたまま(この手の映画にありがちなグロいモンスター表現には辟易するが、それらの大半は霧の中に隠れてしまっている)、人々の心理の変化を重点的に描いたことでより恐ろしくなった。キング作品にはときどき性格設定が単純すぎる登場人物が出てきて何だかな〜と思うことがあるのだけれど、今回のノートンも極端すぎるように思われる。あのような非常時に「みんなが俺を騙している」などと普通考えられるだろうか。それも弁護士という設定なのに。ラストは原作と大きく変えてあるそうだが、アメリカ映画らしからぬエンディングである。

マーシャ・ゲイ・ハーデン(相変わらず芸達者)以外はあまり知った俳優はいなかったが、バランスのとれたキャスティングだった。特にオリー役のトビー・ジョーンズが印象深い。
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by poyance | 2009-04-29 02:12 | 映画
ONCE ダブリンの街角で(ジョン・カーニー、2006年、アイルランド)
b0062149_2015397.jpgレンタルDVDにて鑑賞。87分という短さと、その内容で「小品」と言える作品だが、公開時方々から評価が高く、さらにアカデミー他で歌曲賞を受賞したことで俄然注目が集まった。ただし映画自体を客観的に見ると、自主映画の域に収まっているし、物語的にもそう新しさを感じない。素人っぽい撮り方もそう魅力的に思えず、稚拙に感じられるところもある。アルモドバルばかり見続けていたのでよりそう思えたのかもしれないが、薄味すぎる。歌曲賞を受賞した曲はよいけれど、その他の曲は好みの問題もあるだろうが、人が言うほどこちらには響いてこなかった。さらに映画の長さに比べて音楽が流れる場面に時間が割かれすぎていて、全体的に PV の寄せ集めのようだ。

主役2人はどちらも歌手だそうで、人選は悪くなかったと思う。男の父親が魅力的な人だった。それからダブリンの街の風景や人々の暮らしがかいま見られたのが嬉しい。
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by poyance | 2009-04-28 20:34 | 映画
ミルク(ガス・ヴァン・サント、2008年、アメリカ)
b0062149_2035276.jpgMOVIX堺にて鑑賞。ハーヴィー・ミルクという人物も、アメリカについ30年ほど前までこのような差別的な法律があったことも知らなかった。70年代の空気感が当時のフィルム(ミルクについてのドキュメンタリーも含む)や、人物たちの細かなファッションの変遷なども織り交ぜながら、自然に表現されていた。撮影方法や色彩感覚などは、デビュー当時の作品を思い出させる。

映画を観ていれば、まずゲイであるとかは関係なく、常に前向きであるハーヴィー・ミルクという人の魅力がストレートに伝わってくるだろう。やはり伝記映画のしばりがあるためか、「エレファント」や「パラノイド・パーク」のような斬新さはそれほど感じられないが、ミルクに対する彼の敬意がひしひしと伝わってくる作品だった。ミルクを応援する人々のなかにチラリと監督の姿が見えるところなどは、ちょっとじんとした。

キャスティングもすばらしく、オスカーを獲得したショーン・ペンは、細かな手足の動作まで相当研究したのだろうなあと思う。スコット役のジェームズ・フランコやダン・ホワイト役のジョシュ・ブローリン、ジャック役のディエコ・ルナなども手堅かったし、他のキャストはTV畑の役者が多いようだが、それぞれよかったし、少なくとも外見は皆本人そっくりだった(各人の写真を並べたサイトを発見したのだ)。特にクリーヴ役のエミール・ハーシュがとてもよかった。

アカデミー賞ノミネートのためか、この映画は巷でもかなり宣伝されているようだ。しかし映画館にいたのは5、6人ほど・・・ 悲しい。
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by poyance | 2009-04-26 20:58 | 映画
鰐〜ワニ〜(キム・ギドク、1996年、韓国)
b0062149_255346.jpgスカパー(シネフィル・イマジカ)から録画したものを鑑賞。この監督の長編デビュー作。路線としては「悪い男」と同じもので、チェ・ジェヒョン演じる主人公ヨンペが、マッチョなエゴイスムを暴力という形で周囲にまき散らす。老人はこの男を哀れな息子のように思っているのか、はたまた子供は彼に頼るしかないのか(もしかしたら彼はヨンペの実子なのか)、二人がヨンペと暮らし続ける理由はわからなくもないが、なぜヨンペからあんな辱めを受けた女も彼から離れられないのか、今回も理解に苦しむ。最後のシーンが幻想的だと方々で言われているけれど、監督特有の暗いナルシシスムが鼻についてうーんという感じである。とはいえ、独特のおかしさもあちこちに存在し、すでに第一作で独自の作風が確立されていたことがわかる。
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by poyance | 2009-04-22 02:55 | 映画
タロットカード殺人事件(ウディ・アレン、2006年、イギリス/アメリカ)
b0062149_2521955.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。「マッチポイント」と同じくお気に入りのスカーレット・ヨハンソンをヒロインに据えた犯罪ものだが、前者とは大きく異なり、いつもながらのウディ・アレンもの(自分も出演しているし)に収まっている。「マッチポイント」で新境地を開いたと思っていたので、さらなる展開を期待していたために、少々拍子抜け。映画の出来は可もなく不可もなく、という感じで「犯罪もの」としては面白みに欠けるだろうが、コメディとしては気の利いた会話が散りばめられそれなりに面白い。今回のスカーレットは、記者志望の女子学生という設定のためか、前のお色気たっぷり路線とはがらりと変わって終始野暮ったいメガネと服装で、それがちょっと不満だが、相変わらず可愛い。今年のアカデミー賞の司会で好感を持ったヒュー・ジャックマンも、イギリスの風景にしっくり馴染んでいた。
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by poyance | 2009-04-22 02:53 | 映画
バッド・エデュケーション(ペドロ・アルモドバル、2004年、スペイン)
b0062149_2056442.jpgレンタルDVDにて鑑賞。この監督の作品を3作連続して観たが、作品自体の脚本のなかに、登場人物の書いた脚本が展開され、ガエル・ガルシア・ベルナルがどちらの脚本でも演じているため、最も複雑な構成となっている。しかし、2つの脚本間の切り替わりが明瞭に行われていて観ていて混乱することはなく、サスペンス仕立てにもなっていて、プロットそのものとしてはいちばん面白かった。今回も映画を撮る、という話が中心に据えられているくらい映画を語る映画でもあった。
ガエル君は私も大好きな俳優なのだが、彼が女装しても美しいとはあまり思えず、逆に彼の男である部分が目立って見えてしまう。そもそもアルモドバル作品にしばしば登場する女装の男たちは、女っぽいというよりもゴツくて男らしいし、女性も愛することができて、男性性が強調されているように思える。
それは別として、邪悪な雰囲気を漂わせたアンヘルは、「恋愛睡眠のすすめ」のステファンや「モーターサイクル・・」のゲバラとも全然違い、こういう役にも積極的に取り組んでいるガエル・ガルシア・ベルナルの役者の幅の広さを感じ、ますます好きになった。この映画を引っさげてカンヌに乗り込んだときのガエル君はほんとうに可愛らしかったなあ〜
エンリケ役のフェレ・マルティネスの妖しさもよかった。今回ハビエル・カマラがまたガラっと違うキャラで登場しているが、彼の演じたパキートはこの映画のお気に入りだ。ファッションセンスがたまらぬ。

久々に家人と映画を観ようか(2、3月はほとんど映画を一人で観ていた)ということで、アルモドバル作品を観始めたら、はまってしまって3作品連続で観てしまった(その後「ボルベール」ももう一度観た)。個人的には構成の面白さではこの作品がいちばん好きだが、総合的な感動度でいうと「ボルベール」がベストだろうか。家人は「オール・アバウト・マイ・マザー」も好きだそうだ。ところで、アルモドバル作品では、何でもない場面で出てくる食べ物、特にお菓子がどれもこれもおいしそうで(ウエハース、ドーナツ、お茶に浸して食べるクッキー、プリン等々)、節食中の二人には大変目の毒だった・・
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by poyance | 2009-04-20 21:02 | 映画
トーク・トゥ・ハー(ペドロ・アルモドバル、2002年、スペイン)
b0062149_20273880.jpgレンタルDVDにて鑑賞。これもまた好みが大きく分かれそうな内容の映画であり、観る人によっては「一途な恋愛をする男が見返りを求めず相手に愛を捧げ続ける映画」とも、「ストーカー男が相手の無反応につけ込んで勝手な思い込みでやりたい放題なことをする映画」ともいえるだろう。個人的にはどちらの意見も一理あると思うのだが、ベニグノにそれほど偏執狂的なところが見られなかったので(彼女の髪留めで我慢できる人だし)、鑑賞中は嫌悪感は覚えなかった。今回も2人の男女の物語を並行して語りつつ、それを最後にきれいにまとめあげたところがすばらしく、物語を堪能できた。「オール・アバウト・・」同様、作品中に映画や他の芸術作品へのオマージュ(カエタノ・ヴェローゾまで出演)が随所に見られるが、今回はやや観念的な感じがした。モノクロのサイレント映画についてはちょっと笑ってしまったけれども・・
ベニグノ役のハビエル・カマラは「あなたになら言える秘密のこと」のコックの人で印象に残っていた俳優のはずなのに、この映画ではイメージがかなり違っていて映画を見ている最中は全然気がつかなかった。マルコ役のダリオ・グランディネッティは、ベニグノに「ハンサムな人」と言わせているくらい色気のある男優なのだが、ときどき高橋克美にも見える・・
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by poyance | 2009-04-20 20:48 | 映画
オール・アバウト・マイ・マザー(ペドロ・アルモドバル、1998年、スペイン)
b0062149_205359.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。この作品も「まだ観てなかったの?」と驚かれそうだが、メディアに焼いてしまわれたままだった。後半マヌエラがバルセロナへ渡ってから、物語が急速に動き出して俄然面白くなってきた。意外な展開の連続(息子の出生の秘密がああくるとは思いもよらなかった)だが、なぜかすっと受け入れられてしまうのは、脚本の力なのだろうか、それともスペイン語で話される台詞がことごとくドラマティックに響くからだろうか。いくつにも分散するストーリーがきれいにまとめられてラストに至ったときの高揚感は、他の監督作品では感じられない独特のものがある。マヌエラを演じるセシリア・ロスの力強さとペネロペ・クルスの純情可憐な弱々しさ(本当に可愛い)をはじめ、女性たちのさまざまな美しさが表現されていた。
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by poyance | 2009-04-18 21:03 | 映画
友だちのうちはどこ?(アッバス・キアロスタミ、1987年、イラン)
b0062149_20365047.jpgスカパー(シネフィル・イマジカ)から録画したものを鑑賞。これまで結構有名作を見逃していたことが多くて、これもその一つ。素朴な話とはいえ、子どもに対する大人たちの態度が冷たいのに驚く。「フィデル」とは違って、大人たちは子どもを尊重しない、という以前に彼らの主張を聞こうともせず、厳しい小言ばかり言うのである。これはお国柄なのだろうか。子役たちは、ここでの出来事がすべて本当の事だと思い込まされていたそうであり、彼らのおびえた表情はまさにリアルなそれだった。そういう撮り方はいいのか悪いのか何とも言えない(「ミツバチ」のアナもフランケンシュタインが本当にいると聞かされていたそうだし)。そういう姿勢は微妙だとしても、中庭にはためく洗濯物だとか、夜道に光る灯だとか、風でバタンと開いた扉から見える夜の景色だとか、ハッとするような美しい映像が多く見られた。
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by poyance | 2009-04-18 20:45 | 映画
やわらかい手(サム・ガルバルスキ、2007年、ベルギー/ルクセンブルク/イギリス/ドイツ/フランス)
b0062149_19554185.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。マリアンヌ・フェイスフルといえば、ミック・ジャガーの元恋人で、マンディアルグの小説を映画化した「あの胸にもう一度」に、レザースーツに身を包んでアラン・ドロンと出ていた、というイメージが染み付いていて、この映像に出てくる地味な小太りのおばさんが彼女である、という事実に慣れぬまま見続けていたが、だんだんそういうことはどうでもよくなり、物語に引き込まれていた。悲劇のなかに喜劇が盛り込まれ、この世の中は悲しいとかおかしいとか、一つの要素でスッパリ切ることなどとうていできないのだ、ということを感じさせた。登場人物のひとりひとりも丁寧に描かれていると思うが、ルイーザのことだけは気になった。マリアンヌはマギーを好演していて、ミキが言うように彼女のトコトコというか、トボトボというか味のある歩き方は私も好きだ。そのミキ役のミキ・マノイロヴィッチもよかった。
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by poyance | 2009-04-16 22:10 | 映画


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