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監督・ばんざい!(北野武、2007年、日本)
b0062149_2028508.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。「ギャング映画は撮らない」と宣言したものの、次回作のアイディアが浮かばず試行錯誤する映画監督、キタノ・タケシの物語。

ナンセンスものの北野作品をひさびさに観ました。評判が相当悪いのでツラかったら途中で観るのをやめようと思っていたのですが、「これは面白いのか?」と疑問を呈しつつも結局最後まで観てしまいました。小津、ベタな恋愛もの、おそらく三丁目の夕日のパロディなどの断片で前半は進み、後半はSFと称しつつ物語の展開がえらくおかしくなっていきます。パロディ部分もいいけど、後半のハチャメチャぶりのほうが結構好きでした。ブニュエルの「自由の幻想」のギャグ版みたいに感じました。もっともそのギャグの大半は笑えないのですが。ヨーロッパの観客を意識したギャグ(ジダンのネタは不覚にも笑ってしまった)もありましたが、ベネチアでの反応はどうだったんだろうか。

北野映画におなじみの面々も出ていますが、今回は内田有紀がとても印象的で最初に登場したときはペネロペ・クルスみたいでした。そして江守徹のぶっとびぶりがすごかった。それほど出演時間は多くないもののあの怪演は忘れられそうにありません。
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by poyance | 2008-09-29 20:55 | 映画
雨の味(グロリア・チー、2006年、シンガポール)
b0062149_156817.jpgNHK BS-hi から録画したものを鑑賞。人付き合いを避けて暮らしているシャオチー(ナサニエル・ホー)は、いつも眠れずに夜中を徘徊しているがあるときリア(リア・ロウ)と出会う。リアが気になるシャオチーだがなかなか本心が言い出せず、一緒に暮らす親友のコンロン(トレイ・ホー)からは「好きでないなら譲ってくれ」と言われてしまう・・

淡々としていて、寡黙なところは北野武を彷彿とさせますが、音楽の使い方や過去の回想シーンがあまりに叙情的すぎて足を引っ張っているように思えます。現在の状況を表現している場面はとてもいいと思うし、風景の撮り方も美しいので、妙にところどころで感情的になってしまうのが残念です。物語とは別に日常的な生活の表現を観ているのが楽しかったです。シンプルなマンションのインテリアだとか(夜にまったく電気をつけないのは何故)、簡易食堂みたいなところで食べている焼きそばだとか、リアのファッションだとか何気ないものがとても魅力的でした。

俳優はみんな素人っぽい感じの人だったけれど好感がもてました。日本でリメイクするとしたら柳楽優弥(シャオチー)、堀北真樹(リア)くらいか。
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by poyance | 2008-09-29 02:19 | 映画
あるスキャンダルの覚え書き(リチャード・エアー、2006年、イギリス)
b0062149_1323078.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。オールドミスの教師バーバラ(ジュディ・デンチ)は新しく赴任して来た美しい美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)に目をつけ、彼女の信頼を得る過程を日記に詳細に記していく。ついに「親友」を得たバーバラだが、ある日シーバが15歳の生徒と深い関係になっていることを知る・・

2人の愚かな女、方や物事を辛辣に見つめつつも「親友」には執拗に何かと要求する女と、方や忘れかけていた熱情を一世代以上違う少年に思慮なく求めてしまう女の物語です。バーバラもシーバも教師としては極端な性格に思えるけれど、ドラマとしては面白いので日本でも連ドラとかに脚色してみたらいいんじゃないでしょうか。映像としては可もなく不可もなく、というところです。

ジュディ・デンチの名演技に負けないくらいケイト・ブランシェットも頑張っているので、この2女優の演技を楽しむための映画といえます。バーバラの女のいやらしさ加減や、シーバの馬鹿馬鹿しいほどの無防備なさまを2人がすばらしく演じています。私はケイトのファンなので、ラフなファッションに身を包んだ彼女の美しいお姿を拝めるだけで満足でした。
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by poyance | 2008-09-29 01:50 | 映画
読書記録〜旅行記とエッセイの夏
この夏はほとんど小説は読まず旅行記ばかり読んでいました。

b0062149_2028949.jpg『カシタンカ・ねむい』
『可愛い女、犬を連れた奥さん』(チェーホフ、岩波文庫)

戯曲というジャンルが苦手で読んでいなかったチェーホフの短編集が出たので読んでみたところ、とても面白かった。もっと感情に訴えるタイプの作品なのかと思っていたら、わりと冷めた目線で語られていてしみじみとした気分にさせられます。神西清の訳もすばらしく、日本語の文章も堪能しました。

『アジアロード』(小林紀晴、講談社文庫)
『いつも旅のなか』(角田光代、角川文庫)

旅行記読書の皮切りは鮮やかな写真がたくさん散りばめられた『アジアロード』。しかし、現地の実情に触れたり、人びとと交流したりしても、結局筆者が行き着くのは「自分探し」であって、ある種のナルシスティックな雰囲気が常に漂っているのがなじめませんでした。写真はいいのに・・ 後者は人気作家(小説は読んだことがありません)の旅に関するエッセイで、楽しく読めました。でも知らない人にあんなにたやすくフラフラついていって大丈夫なのだろうか。


b0062149_20394929.jpg『イカ干しは日向の匂い』(武田花、角川春樹事務所)

この人のモノクロームでちょっと寂しい写真と母百合子さんからセンスを受け継いだような文章がとても好きです。彼女が被写体にする猫さんたちもワイルドでブサ可愛くて(表紙の猫さんは美人さんですが)いい。








b0062149_20475942.jpg『謝謝!チャイニーズ』
『転がる香港に苔は生えない』
『銭湯の女神』(文春文庫)
『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)
『迷子の自由』(朝日新聞社、以上星野博美)

変換前後の香港へ留学、その後中国を旅した筆者の中国への思いがあふれた記録の数々。その真面目な文章からは、今の時代と折り合いをつけるのに苦労してそうな不器用で頑固な性格がにじみでていて、それがまたいいのです。女性のエッセイとしてはあまり見ないタイプの人で好き嫌いが分かれると思いますが、これからも文章を書き続けてほしい人(本業はカメラマンだけれど)です。

『何でも見てやろう』(小田実、講談社文庫)
『もの食う人びと』(辺見庸、角川文庫)

以前新聞でおすすめ旅行記として挙げられていた本です。小田実は社会活動家、というイメージが強かったのですが、ここでは好奇心旺盛でバイタリティーあふれる向こう見ずな小田青年が、わずかばかりのお金で欧米からさらにはインドまで旅し続ける過程が語られています。タイトル通り何にでも興味を抱き飛び込んで行く姿勢が潔く痛快です。後者はこちらもタイトルが示すごとく「食べる」という観点から世界各国を旅した記録で、深刻な問題を抱える地域が選ばれているにもかかわらず、文章は説教臭いわけでもなくとても面白く読めます。新聞で取り上げられていた旅行記はヒットなものが多かったなあ。もう一作ずっと探していた犬養道子の『お嬢さん放浪記』(中公文庫)も先日ブックオフで見つけてようやく読めましたが、こちらも秀作。

『古道具 中野商店』(川上弘美、新潮文庫)

読みたかった小説が文庫化されたので早速購入。古道具屋、というのはとても魅力的な職業だし、川上作品では好きな方。脇役ながら、とてもエロティックな文章を書くサキコさんの存在が効いています。

b0062149_1182633.jpg『シズコさん』(新潮社)
『役に立たない日々』(朝日新聞出版)
『ふつうがえらい』
『がんばりません』(新潮文庫、以上佐野洋子)

絵本は全然読んだ事がないんですが、エッセイの文章がとても好きな佐野さんの本を一挙に4冊読書。歯に衣着せぬ、というか裏表のない表現を読むと、いつも元気をもらえます。しかしその彼女を今の彼女たらしめたのは、母親との関係が大きく関わっているのだなあと考えさせられたのは『シズコさん』です。4冊のなかでは『役に立たない日々』の長いスパンに渡る文集が面白く、韓流に目覚め、ヨン様〜ビョン様から果ては長瀬〜妻夫木という「男遍歴」が楽しい。ガンで余命幾ばくもない、という彼女のほうからこれほどのバイタリティを頂くという不思議さ・・
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by poyance | 2008-09-19 21:09 |
キャリー(ブライアン・デ・パルマ、1976年、アメリカ)
b0062149_19432213.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。高校生のキャリー(シシー・スペイセク)は同級生からはいじめられ、熱心な宗教家の母親(パイパー・ローリー)からは厳しいしつけを受けていていた。いじめた女学生たちはコリンズ先生(ベティ・バックリー)に叱られ、改心したスー(エイミー・アーヴィング)は、ボーイフレンドのトミー(ウィリアム・カット)にキャリーをプロムに誘うよう頼む。一方で叱られたことを根に持つクリス(ナンシー・アレン)はボーイフレンドのビリー(ジョン・トラヴォルタ)と共謀してプロムでキャリーに恥をかかせようとする・・

ホラー映画かと思っていたら全然違って映画の80%くらいは学園もの、という雰囲気です。しかし冒頭からまた意味のないエロいシーン(シャワーの場面撮るの好きだね〜)がひとしきり続くわ、画面分割やスローモーションてんこもりで、デ・パルマ節が全開です。先生やスー&トミーみたいにいい人も出てくるんだけど、あまりいい人に見えないように描かれている(先生だって「トミーとキャリーは釣り合わない」とか言ってるし、スーもキャリーをからかいたくてトミーをけしかけていたとプロムが始まるあたりまで思ってました)のは、結末への伏線なのでしょうか。ラストがあそこまで徹底しているとは思ってもみなかったし、終わり方も後味が悪いんですが、常に「作り物」の雰囲気が漂うデ・パルマ作品なだけに、怖いという印象はありませんでした。

シシー・スペイセクの白っぽい顔は年をとってもあまり変わらない(というかこの当時から老けていたのか)ですね。ナンシー・アレンは今回も下品な女の子を演じていてこれもはまり役。エイミー・アーヴィングとウィリアム・カットはいかにも70年代の可愛い少年少女たちでカーリーヘアが目にまぶしい。ジョン・トラヴォルタは相変わらず濃い顔です・・
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by poyance | 2008-09-19 20:30 | 映画
ボルベール<帰郷>(ペドロ・アルモドバル、2006年、スペイン)
b0062149_1255624.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。ライムンダ(ペネロペ・クルス)は、娘パウラ(ヨアンナ・コボ)が夫パコ(アントニオ・デ・ラ・トレ)から襲われそうになって殺してしまったことを知り、かつての勤め先で閉店しているレストランの冷凍庫に死体を隠す。ライムンダの姉ソーレ(ロラ・ドゥエニャス)は伯母パウラの葬式から車で帰ってきたところ、トランクから死んだはずの母イレネ(カルメン・マウラ)が出てきて驚愕する。ソーレはイレネを自宅に住まわせ、美容師の手伝いをさせる。伯母の家の隣に住むアウグスティナ(ブランカ・ポルティージョ)はガンで余命幾ばくもないことを知り、姿をくらました母親の行方をイレネの幽霊に聞いてくれとライムンダに頼みにくる・・

物語を書き連ねるとあまり関係のなさそうな話が並べてあるように見えるけれど、これが最後に見事にまとまるのがこの映画のすごいところです。突拍子もない話ばかりで展開はとても強引なはずなのに、自然に見えてしまうのは監督と脚本の力もあるのでしょうが、スペインという風土がそうさせているのでしょう。ダラダラするところもなく、緩急をつけた構成で楽しく見ることができ、ラストも非常によかったです。画面にあふれる鮮やかな色彩が全体をひきしめていて、映像も美しかったです。

女優としてのペネロペは、「バニラ・スカイ」くらいしか見たことがなかったので印象が薄かったのですが、自国映画だとさすがに本領発揮しているようで、この肝のすわった美しい母親をすばらしく演じていました。彼女が着ている服が日本では考えられないようなハデハデな柄の組み合わせばかりなんだけれど、妙にそれがきまっている。イレネも言っていたけれど彼女はあんなに胸が大きかったっけ? はじけるようなボディと漆黒の髪に濃いーいメイクのペネロペは本当にきれいでした。それと対照的なのがアウグスティナ役のブランカ・ポルティージョで、丸坊主(!)でほとんどノーメーク、着ているのは地味な色の服装ばかりなのに存在感がありました。ほかの女優さんたちもそれぞれすばらしく、カンヌで全員が賞を取ったのも納得。

恥ずかしながら、アルモドバル監督の最近の作品は録画したままでぜんぜん観てませんでした(最後に観たのは「キカ」かしら・・)。この際母親もの三部作を観てみようかな。
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by poyance | 2008-09-18 12:33 | 映画
ラストキング・オブ・スコットランド(ケヴィン・マクドナルド、2006年、アメリカ/イギリス)
b0062149_1143392.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。軽い気持ちでウガンダの診療所へやってきた青年医師ギャリガン(ジェームズ・マカヴォイ)は、軍事クーデターで新政権を握ったアミン(フォレスト・ウィテカー)に気に入られ主治医となる。アミンから絶大な信頼を得たギャリガンは、主治医以上の任務をまかされるほどになるが、次第に独裁化していくアミン政権に不安を抱きつつも、第三夫人のケイと深い関係になる・・

実話にもとづいた作品ですが、ギャリガン医師自体はモデルはいるものの架空の人物だそうです。アミン大統領は名前は聞いたことはあるけれど、どういう人物だったのかはこの映画で初めて知りました。「ホテル・ルワンダ」にせよ、アフリカの歴史は暴力と切り離せないのだなとやるせなく感じました。そしてそのバックには欧米諸国の利害関係が絡んでいるのだということも。

ただし、なぜアミンがそれほどスコットランド好きなのか、なぜ急に残忍になっていくのかなど、肝心のところがあまり語られないので説得力に欠けるように思います。そしてギャリガンという人物にあまり魅力を感じられないのも残念。いい加減だし、女に手が早いし・・

フォレスト・ウィテカーは迫真の演技で男優賞獲得はもちろんうなずけるのだけれど、この役ではあまり取ってほしくなかったなあ〜 ジェームズ・マカヴォイも好きなだけに、ギャリガン役はつらかった・・ あくまで個人的な感想です。
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by poyance | 2008-09-18 12:03 | 映画
トランスアメリカ(ダンカン・タッカー、2005年、アメリカ)
b0062149_1241387.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。ロサンジェルスに暮らす性同一性障害のブリー(フェリシティ・ハフマン)は、長年の夢だった性転換手術を一週間後に控えていたが、ニューヨークの警察から自分の「息子」が拘置所にいることを知らされる。それは過去に一度だけ関係を持った女性との子供だった。ブリーはニューヨークへその息子トビー(ケヴィン・セガーズ)を迎えにいき、ロスへ行きたいというトビーを車で連れ帰ることになる。先住民の末裔だという父スタンリーに会いたがるトビーを前に、元スタンリーであるブリーは自分の正体をなかなか言い出せない・・

ジェンダーの問題を優秀なコメディに持ち込むのはなかなか難しいと思うのだけれど、これは主人公のブリーを茶化すようなことをしておらず、R指定はあるものの品の感じられる作品です。それはブリーが常に自分の気品を失わないよう努力する乙女だから、ということと、息子のトビーには基本的にそういう人びとへの偏見がない(まあ自分の父親がそうだったということを知ったときのリアクションは、状況が状況だっただけに仕方ないとしても)ということが挙げられるでしょう。旅の途中に出てくる人たちも魅力的で、とりわけ先住民族のカルヴィン(グレアム・グリーン)が素敵で、彼とブリー(そしてそれを妬くトビー)のエピソードがよかったです。

フェリシティ・ハフマンは服の下にいろいろくっつけてゴツイ感を出したのでしょうか、メイクや発声法も含めてほんとうに女装した男性にしか見えませんでした。息子役のケヴィン・セガーズはすこぶる美形の少年で、汚れた二枚目という役柄か、若い頃のアラン・ドロンを思い出しました。あの顔で迫ってこられたら、そら誰でもドキドキしますわな・・ ただし金髪は似合いません。
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by poyance | 2008-09-16 12:59 | 映画
スティーヴン・フリアーズのザ・ヴァン(スティーヴン・フリアーズ、1996年、イギリス/アイルランド)
b0062149_12115070.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。仕事を突然クビになったビンボ(ドナル・オーケリー)は、同じく失業中の親友のラリー(コルム・ミーニイ)と屋台のバーガーショップを始めようと思いつく。オンボロの中古バンを買い求め、何から何まで一から準備してようやく開店したものの、ラリーは勝手に娘を連れて来て働かせたり、何かとトラブルの種をまくのだった・・

「マグダレンの祈り」でアイルランドの悲惨な一面を見て重苦しくなっていたのを、この作品の抜けた雰囲気が中和してくれました。とにかくビンボとラリーがダメ男で、とりわけラリーはお調子者なうえ下品でだらしない。だけどなぜか憎めないこの二人。それは単純だけれど裏表がなくて、根は家族や友達思いの気のいい人たちだからでしょう。それは二人の奥さんたちの態度にも表れていて、どんなに夫がダメダメでも優しく受け入れるのです。男二人のシーンも面白いのだけれど、夫婦の場面もいい映画でした。

ラリー役のコルム・ミーニイのコミカルな演技が光る作品でした。「マグダレン」のクリスピーナ役だったアイリーン・ウォルシュがこちらでは一転パンク少女役で一瞬だけ出演しています。
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by poyance | 2008-09-16 12:38 | 映画
マグダレンの祈り(ピーター・ミュラン、2002年、イギリス/アイルランド)
b0062149_11385714.jpgスカパー(シネフィル・イマジカ)から録画したものを鑑賞。1960年代のアイルランド、ダブリン。未婚で出産したローズ(ドロシー・ダフィ)、従兄弟からレイプされたマーガレット(アンヌ=マリー・ダフ)、少年たちの気を惹いていた孤児院育ちのバーナデット(ノラ=ジェーン・ヌーン)が、修道院が経営する少女更生施設へ入れられる。そこではシスター・ブリジット(ジェラルディン・マクイーワン)の指揮のもと、「罪」を犯した少女たちが自由を奪われ、人として扱われることのない過酷な毎日を送っていた・・

暗い色調に覆われた映像のなか、少女たちの受けるひどい仕打ちが容赦なく描かれていきます。実話をもとにした映画ということで、エピソードのひとつひとつが本当なら犯罪もの(それもシスターや神父がそれをしているんです)と思うんですが、90年代まであったというこの施設は結局世間でどのように見られていたのでしょうか。救いようのない話が次々と語られて、このまま終わりだったらもうやりきれないと思っていたら、3人はそれぞれのやり方で脱出することができて、ほっとしました。とはいっても残された少女たちは同じ生活をずっと続けなければならないのだけれど・・

正義感の強いマーガレット(偶然修道院の外に出られても逃げなかった、というエピソードが効いている)、そんな彼女と対立する反抗的なバーナデット、そして奪われた子供への思いが捨てきれないローズ、という三者三様の描き方と、クリスピーナ(アイリーン・ウォルシュ)のエピソードの絡め方が秀逸でした。

少女たちは初めて見る女優ばかりでしたが、みんなとてもよかったです。個人的にはローズ役ドロシー・ダフィの優しい顔立ち(ちょっとキルスティン・ダンスト風)が好きです。アイリーン・ウォルシュの忘れられない顔立ちは、クリスピーナの壮絶な運命ともども印象深かったですし、シスター・ブリジットが見るだけで生理的嫌悪感を催させるのはジェラルディン・マクイーワンの演技の力なのでしょう。
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by poyance | 2008-09-16 12:07 | 映画


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