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<   2008年 01月 ( 7 )   > この月の画像一覧
善き人のためのソナタ(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク、2006年、ドイツ)
b0062149_20150.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。1984年の東ドイツ。秘密警察シュタージに真面目に仕えてきたヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は、反体制分子と疑われる劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)と恋人の女優クリスタ(マルティナ・ゲデック)が暮らす家を24時間監視することになるが、次第に2人に共感を抱き始める・・という物語。

去年のアカデミー外国語映画賞、またキネ旬の外国語映画部門で2位ということで観ました。東ドイツ時代の監視体制の話は聞いたことがありますが、映画自体は非常に地味なスタートで、高く評価される理由がよくわからないまま観ていたところ、ヴィースラーがタイトルにもなっているベートーベンの曲を聴くあたりから次第に内容が充実してきて、終わりまで一気に観ることができました。とくに終盤あたりの話の持っていきかたがすばらしく、日本だと妙に盛り上げてお涙頂戴にしてしまうであろうラストシーンを、非常に抑制された、かつ心にしみる終わり方にしていたのが印象的でした。

映像については斬新さはあまり感じられず、どちらかというと無骨な感じで、それはフランス映画の繊細さや、ラテン系映画のまろやかさ、はたまたイギリス映画のストイックさとも違うドイツ映画の特色なのでしょうか、しかしそこから実直さがにじみでていて大変好感のもてる作品でした。監督はまだ30代半ばで、これが処女作だそうで、これからの活躍が大いに期待できます。

中心となる俳優3人は、みな「大人」を感じさせる演技でした。クリスタ役のマルティナ・ゲデックは昔ながらの「女優」という感じの人でぴったりのキャスティングでした。しかし何よりもヴィースラー役のウルリッヒ・ミューエが秀逸で、喜怒哀楽はほとんど表に出さないのに、微妙な心理の変化を見事に表現していました。去年急逝されたそうで、本当に残念なことです。
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by poyance | 2008-01-25 02:26 | 映画
恋愛睡眠のすすめ(ミシェル・ゴンドリー、2005年、フランス)
b0062149_1445355.jpg先ほどFBNに投稿してきました。「エターナル・サンシャイン」ではまだ全体にまとまりがあったゴンドリー作品ですが、今回はもう好き放題やってる、という感じで、それはそれで面白かったんだけど、拒否反応を示す人も多いんじゃないかな〜と思います。この次の作品ではジャック・ブラック主演のコメディ、そして今年は東京を舞台にしたオムニバス映画で加瀬亮、大森南朋ら出演の作品を監督するそうなので、こちらも楽しみです。

ガエル君、やっぱりカワイイです。アメリカよりもヨーロッパ系の作品でのほうが、彼のよさが活かされてると思うのは気のせいでしょうか。本人ものびのび演技してるように見えます。シャルロットはちょっと年をとったな、と思ったけれど今の彼女もとても好きです。お母さんにも似てきましたね。
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by poyance | 2008-01-25 01:57 | 映画
それでもボクはやってない(周防正行、2007年、日本)
b0062149_20323967.jpgレンタルDVDにて鑑賞。満員電車で痴漢に間違われた徹平(加瀬亮)は、罪を認めなかったために起訴され、刑事裁判にかけられる・・

昨年度のキネ旬邦画ベスト1に輝いた周防監督ひさびさの作品を観ました。これまでの周防作品は、世間であまり注目されていなかった領域にスポットを当て、楽しく描きだすというタイプのものだったのですが、今回は一転して真摯な態度で刑事裁判という制度に向き合っています。

ふだん我々が犯罪、特に性的なものに接するとき、どうしても被害者の立場から見てしまいますし、被疑者にも偏見を抱きがちです。しかし被疑者のなかには、無実の人もいる場合があるわけで、そういう人を公平な目で見る、ということは本当に難しい。あくまで有罪にしようという検察は自分に不利な証拠は出さないし、「12人の優しい日本人」でも感じたけれど、裁判というのは真実を見いだす、というよりも出された証拠の範囲で有罪無罪を判断する場なのだと痛感しました。いずれ始まる裁判員制度のこともあり、私たちにも縁遠くない話題です。周防さんは今回刑事裁判の抱える問題を、大げさにすることなく冷静にかつスリリングに描いていて、143分飽きさせることはありませんでした。

主演の加瀬亮君は、これまで地味でつかみどころのない人間の役が多かったのですが、今回はそのキャラクターが活かされた配役で、キネ旬での主演男優賞も納得です。脇役もいわゆる「周防組」の俳優たちが多かったのに、これまでの彼らのアクの強さを感じさせず作品のトーンに溶け込んでいたように思います(アクの強すぎる竹中直人などはほんのチョイ役として登場)。またいい人のイメージが強い小日向文世が憎らしい裁判官を演じ、いつもの穏やかな微笑が氷のような冷たさに見えました。山本耕史の熱血漢、もたいまさこの子を信じる母親など、キャスティングがとてもよかったです。本田博太郎の意外な配役も、その怪演にうなずけました・・
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by poyance | 2008-01-20 21:05 | 映画
名犬ラッシー(チャールズ・スターリッジ、2005年、仏/英/米/アイルランド)
b0062149_20505327.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。ヨークシャーで両親と貧しく暮らしているジョー(ジョナサン・メイソン)は、炭坑が閉鎖されて父親が職を失い、一家が生活に窮したため、ラドリング公爵(ピーター・オトゥール)にかわいがっている美しいコリー犬ラッシー売られてしまう。公爵一家は戦火を逃れるためにスコットランドへ移るがラッシーはそこから逃げ出し、800キロ離れたジョーのもとへ向かう・・というもの。

涙腺がいちだんと緩んできたこのごろ、もうダメです、最初っから。不幸な少年を慕っている犬の姿を見ているだけで涙が出てきました。コリーはべつに好きな犬種、ってわけではないものの、見るからに賢く主人に忠実そうで、立ち居振る舞いが絵になるし、この物語はやっぱりコリーだから成り立っているんだなあと思いました。後半からは犬のロード・ムービーになり、「インディアン」みたくいい人ばかり出てくるはずがなく、大方が悲惨な旅なのだけれど、そのなかで数少ない優しい人たちとの出会い(旅芸人ロウリーとのくだりが特に)がまた泣かせます。

ジョー役のジョナサン君は、トム・ヨークが子供になったみたいで、見るからに幸薄い感じでした。公爵の孫シーラ(ヘスター・オジャース)も、可愛いとはお世辞にも言えないのだけれど、意志の強そうな表情がとても印象的な女の子でした。それにしてもピーター・オトゥールは年とったなあ・・
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by poyance | 2008-01-18 21:04 | 映画
世界最速のインディアン(ロジャー・ドナルドソン、2005年、ニュージーランド/アメリカ)
b0062149_20272068.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。ニュージーランドの小さな町に暮らすバート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は、40年以上乗り続けた愛車インディアンとともに、はるばるアメリカのボンヌヴィルへ最速記録を更新するべく出発する・・という物語。

大半はボンヌヴィルへ行き着くまでのロード・ムービーで、道中で出会う人々との交流があたたかく描かれています。数人をのぞけば出てくる人がいい人ばかりで、都合の良い展開とはいえとても安心して観られます(実話を映画化したものだけれど、どの程度まで本当なんだろう)。とても女らしいティナをはじめ、その人たちの個性も楽しい。ボンヌヴィルで知り合う3人も、ふつうならば「悪役か?」と疑われるようなルックスなのに、それを裏切ってくれるのも嬉しい。これもお正月に観るにふさわしい作品でした。新年しょっぱなから悲しい気分になるのもねえ〜。

最近ではもっぱらレクター博士役のイメージが強いアンソニー・ホプキンスが、今回は頑固だけれど人の良いバイク好き老人を演じたのは意外な気もしますが、バイクを走らせている姿は格好よかったです。

「ブラウン・バニー」でもヴィンセント・ギャロがバイクを走らせた真っ白い塩の平原が今回も出てきます。何度見てもすばらしい風景で、ここを高速で走ったら爽快でしょうね。
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by poyance | 2008-01-18 20:46 | 映画
俺たちフィギュアスケーター(ウィル・スペック/ジョシュ・ゴードン、2007年、アメリカ)
b0062149_20291882.jpgなんばパークスのシネコンで鑑賞。仲の悪いフィギュアスケーター、チャズ(ウィル・フェレル)とジミー(ジョン・ヘダー)は、競技場で騒ぎを起こしたためスケート界から追放されるが、規定のスキをついてペア競技には出場できることを知り、意に反して男性どうしのペアを組むことになる・・というもの。

いつもながらの「新年一発目は楽しい映画から」、ということで大阪では一館のみ、しかも夕方から上映というこのおバカ映画を三日に観に行きました。フィギュアとはいうものの、今やっている競技とは全然違います(採点も旧採点方法だし)ので、それ目当てに行かないほうがいいと思いますが、それでも往年の名選手がたくさん出てきます(ルックス面において選手時代とのギャップに衝撃を受ける人もおります)し、フィギュア好きの人にはよりいっそう楽しめるでしょう。路線としては「ドッジボール」みたいな映画を想像していただければよいと思います。

フラット・パック(*)のなかで唯一ウィル・フェレルはダメで、この人が何やっても笑えないことが多く、今回もそれほどおかしいとは思わなかったけど(タトゥーのくだりはよかったけど)、チャズの俺様キャラに合った人選だったと思います。逆に「バス男」のジョン・ヘダー君が、あのナポレオン・ダイナマイトからロマンティックな王子様へ見事に変身していることに感心しながら観てました。

前評判からものすごくお下劣な内容かと思っていたら、そうでもなくて(ほどほどにお下劣、というべきか)、また突き抜けたバカさ加減でもなく、そのあたりが中途半端に感じられました。まあ何も考えずに笑えたからお正月に観るにはいいかもしれません。


* ベン・スティーラー、オーウェン&ルーク・ウィルソン兄弟、ウィル・フェレル、ヴィンス・ボーン、ジャック・ブラック、スティーヴ・カレルのコメディ俳優7人組。今回はベン・スティーラーが製作に関わり、映画中ではルーク・ウィルソンがちょい役で出演していて、彼らの仲の良さを感じさせます。
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by poyance | 2008-01-17 21:00 | 映画
2007年度ベストテン映画
皆様、明けましておめでとうございます。年末年始はバタバタしっ放しでなかなかエントリーする余裕がありませんでした。今年はすでに2本ほど映画は観ているのですが、その感想を述べる前に昨年度のベスト映画を考えてみたいと思います。FBNのほうには「昨年何らかの形で発表されたもの」にしぼってベスト3を選んでいますが、こちらでは昨年観た映画全体に範囲を広げてみましょう。


次点
b0062149_20214598.jpgレディ・イン・ザ・ウォーター(M・ナイト・シャマラン)

俳優の個性が活かされたキャスティングで、都合のよい展開の物語とはいえ、それでいいじゃないのと思わせてくれる内容だった。シャマラン作品ではあまり評判が芳しくないようだが、とても温かみが感じられて好きな映画だ。アメリカではラジー賞(最低映画賞)の候補だった一方で、フランスでは「カイエ・デュ・シネマ」の2006年度ベストテンで6位に入っていたけど、それも何だかうなずける。


第10位
b0062149_20295590.jpg明日へのチケット(エルマンノ・オルミ他)

オムニバスものは期待はずれが多いのだけれど、これは参加した3人の監督すべてがそれぞれいいものを撮っていて、後味も爽やかだ。無名の俳優たちもいい仕事をしているが、やはりいちばん光っているのはヴァレリア・ブルーニ=テデスキだろう。多くを語ることなく、あの豊かな表情だけで深い印象を残している。



第9位
b0062149_3263777.jpgトゥモロー・ワールド(アルフォンソ・キュアロン)

予想していた内容と全く違っていた映画だったが、抑制された演出と画像が効果的な大人のSF作品だった。クライヴ・オーウェン好きとしては、彼のよさが活かされていた嬉しい作品。マイケル・ケインの化けっぷりも楽しい。


第8位
b0062149_330354.jpgボーン・アルティメイタム(ポール・グリーングラス)

これも2作目が今ひとつだったのであまり期待せずに観たのが功を奏したのか、なかなか面白く仕上がっていた。同じ監督で「ユナイテッド93」も観たが、真摯な姿勢はよいが気張りすぎている感じがしたので、このような「真面目な」エンターテインメント系のほうが合っているように思う。マット・デイモンもたくましくなりアクションシーンも見応えがあった(個人的には「オーシャンズ」のライナスのキャラのほうが好きだけれども)。


第7位
b0062149_3335595.jpgチャーリーとチョコレート工場(ティム・バートン)

奇しくも先日地上波でも放送され、再度その魅力を再確認できた。バートン&デップのコンビでは「シザーハンズ」が最も好きなのだが、それに次ぐ作品だと思う。しかしこの映画の見どころは何といってもウンパ・ルンパさんたちのショータイムのシーンにつきる。



第6位
b0062149_1434923.jpgスパイダーマン3(サム・ライミ)

シリーズごとに凝縮度が上がっていく作品。今回は複数のストーリーを絡ませていくぶん複雑な構造になっていたが、緩急をうまくつけて長時間を飽きさせない作りになっている。新しいキャストも魅力的だ。



第5位
b0062149_3364188.jpgリトル・ミス・サンシャイン(ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス)

これも半ば不安を抱えながら映画館で観た作品だが、ミニ・シアターのものすごく前の席で観たハンデも関係なく笑わせてくれて同時にしみじみさせてくれる映画だった。「ザ・ロイヤルテネンバウムズ」と並ぶ家族モノの傑作だといえる。キャスティングも魅力的で子役のアビゲイル・プレスリンが大人の俳優たちのなかでのびのびと演じているのが微笑ましい。


第4位
b0062149_3444128.jpg世界(ジャ・ジャンクー)

「長江哀歌」の評価も高いこの監督は、作品を重ねるごとに新しい試みを取り入れ、かつ時代を経るごとに失われていくものにも目を向けながら中国の現在をとらえてきた希有な存在である。これまでの作品と比べて大幅にスケール・アップした映像もすばらしいが、若者たちを見守る姿勢は変わらないところが嬉しい。


第3位
b0062149_3504646.jpg007/カジノ・ロワイヤル(マーティン・キャンベル)

正直この作品がこんな上位に来るとは思ってもみなかったが、娯楽作品として非常に完成度の高い映画だと思う。それは新しいマッチョ系ボンドの好きずきにも関係してくるだろうけれども、ダニエル・クレイグはこのスパイ映画の新規開拓に多いに貢献したと思うし、しばらくボンド役を続けてもらいたい。今回はボンド・ガールのエヴァ・グリーンも大変好みの女優さんだったので次回のボンド・ガールも期待。


第2位
b0062149_3553531.jpgブロークバック・マウンテン(アン・リー)

内容としては「小品」といってもいいぐらいだが、広々とした風景をバックに繰り広げられると壮大な物語にすら思えてくる。ジェイク・ギレンホールはもとより、ヒース・レジャーの粗野な男の演技に感心してしまった。穏やかそうなアン・リー監督はまた次回でもセクシャリティの問題を取り上げているそうで、ハリウッドに対して非常に意欲的かつ挑戦的な映画人だろう。


第1位
b0062149_411229.jpgゾディアック(デヴィッド・フィンチャー)

1位だけはFBNと同じ結果となった。映画がもたらしてくれる戦慄と興奮を十二分に味わわせてくれる作品だった。70年代の雰囲気の表現も、奇をてらったり、派手派手しくしたりすることなく、終始抑えた感じの大人っぽい作りでほれぼれするほど素晴らしかった。次回作も大変楽しみだ。



ベストテン発表して誰が喜ぶんだよ、という思いもチラと頭をよぎりますが、何かの参考にでもしていただければ嬉しいです。今年はさらに幅広いジャンルの映画を観たいなあと思っておりますので、どうぞおつきあいください。コメントなどもいただければ幸いです。


* 「スパイダーマン3」を入れるのを忘れていた!ということで1月20日に再度順位を変えて更新しました。ついでに家人の考えたベストテンも下に発表しておきます。

b0062149_14315229.jpg次点   街のあかり(アキ・カウリスマキ)
第10位  エリザベスタウン(キャメロン・クロウ)
第9位  レディ・イン・ザ・ウォーター
第8位  チャーリーとチョコレート工場
第7位  キンキー・ブーツ(ジュリアン・ジャロルド)
第6位  リトル・ミス・サンシャイン
第5位  ブロークバック・マウンテン
第4位  小説家を見つけたら(ガス・ヴァン・サント)
第3位  007/カジノ・ロワイヤル
第2位  トゥモロー・ワールド
第1位  ゾディアック



私は「街のあかり」だけ事情で観られませんでした。今DVD注文中で、はやく観たいなあ(犬の場面がやはりいいらしい)。それ以外は半分ぐらいかぶってますね・・
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by poyance | 2008-01-12 20:32 | 映画


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