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カテゴリ:本( 19 )
読書記録
だいぶ前から書いていないので、読んだ順もあやふやですが、いちおう書名だけでも記しておきます。今回から出版社もできるだけ書くようにします。


b0062149_23131455.jpg前回、アゴタ・クリストフの C'est égal (Seuil) のことを書くのを忘れていました。ほとんどが数ページで成り立つ短編集で、読みやすいフランス語で書かれているので、学習教材としても使えそうです。ただし話はどれもブラックな展開なので、決して後味のよい作品とはいえないですが。彼女の作品はいつも面白いので、以前仕事に使った Hier という小説も全部読みたいなあと思っています。





b0062149_2314378.jpgまたもや古本探しの達人 I 先生が見つけてくださったヘンリー・ジェイムズの『嘘つき』(福武文庫)を嬉々として読みました。短編3本のどれも味わい深くてよかったですが、特に「五十男の日記」の真相のわからぬままのどんでん返しが好きです。H・ジェイムズものは後に『ヘンリー・ジェイムズ短編集』(渓水社)も読みました。こちらは初期の短編3本を集めたもの。「デイジー・ミラー」の進化型とでも言うべき「パンドラ」がよいです。でもここでのキーワード「新しいタイプのアメリカ女性」って結局どんな人なんだろう。



この後おそらく『女獣心理』(野溝七生子、講談社文芸文庫)を読みました。往年の少女漫画に通ずるきらびやかな世界観とドラマチックな筋書き。陶酔して書いている感が強いので、少々疲れるところもあります。同じタイプのように見えても、森茉莉みたいに、どこか外側から眺めてそんな自分を笑っている部分がある人のほうがやっぱり面白い。


急に読みたくなって漱石の『坊ちゃん』『三四郎』『それから』(すべて新潮文庫)を連続読み。『坊ちゃん』はもちろん痛快。『三四郎』の、これといった筋がなくまったりと進む物語と、時折からむ幻想的な場面がよかった。『それから』は森田芳光の映画の配役で読み進めてました。


b0062149_23142345.jpgその後またイギリスものへ。今度はカズオ・イシグロの『わたしたちが孤児だったころ』(ハヤカワepi文庫)です。前半はモディアノの『暗いブティック通り』みたいで、このままあいまい路線で行くのかと思ったら、終わりのほうで推理小説みたいにほとんど謎解きされていました。個人的には『遠い山なみの光』のような、はっきりしない終わり方のほうが好きですが、これはこれで読み物としては面白いです。先日出た新作も思わず買ってしまい、近々読む予定。




b0062149_23144711.jpg最後はヴァージニア・ウルフの『灯台へ』(岩波文庫)。三部構成になっていて、第一部ではある日の夕方から夜にかけての、一家族と周辺の人々の心理が、まるで編み物の毛糸をするするとほどいていくように、めんめんと語り続けられていくのに対して、第二部では、夜の描写の間に十年間がすっ飛ぶ。そしてその十年後が第三部という時間の流れがすごい。キャサリン・マンスフィールドにライバル心を燃やしていたそうだけれど、描写の繊細さ、という点ではマンスフィールドが、小説構成ではウルフが面白いでしょうか。一気にはなかなか読めないけれど、別の作品も読みたいなと思いました。
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by poyance | 2006-04-29 20:58 |
読書記録
まず2005年度のベストテンについては、最近のものをほとんど読んでいないので、割愛することにしました。ただ昨年読んでいちばん面白く感じた作品を上げるとすれば、クリスチャン・オステールの "L'Imprévu" だったでしょうか。邦訳されるのを期待しています。

b0062149_2381070.jpg年末年始は創元推理文庫から出ている『日本怪奇小説傑作集』シリーズ( 紀田順一郎・東雅夫/編)を読んでいました。全3巻もので、最初は1巻だけ読もうと思っていたら、選者のセンスが自分の好みと非常に合っていたので、全部読むことにしました。全巻表紙が田中恭吉の作品というのも乙です。明治から年代順に作品が集められており、明治〜大正時代の作家に興味のある自分には、やはり年代の古い第1巻がいちばん面白かったです。こういうアンソロジーは、普段絶対読まないような作家や苦手で敬遠している作家の作品に触れる機会が得られるのですが、今回も新発見が多々ありました。
第1巻の大佛次郎の「銀簪」なんて、ラストはゾクッと来ましたねえ。谷崎潤一郎の「人面疽」や川端康成の「慰霊歌」(本当はどちらも苦手な作家)、江戸川乱歩の「鏡地獄」はどれも発想が突拍子もなくて驚かされました。村山槐多の「悪魔の舌」や夢野久作の「難船小僧」(文体が粋)も強烈だし、何よりも特異な文体に圧倒されるのが泉鏡花。一度腰を据えてじっくり読みたいものです。第1巻はその他の作品も傑作ぞろいです。
年代が新しくなってくるにつれ、オーソドックスな「ホラー」っぽい話が多くなってくるところも意外でした。第2巻では久生十蘭の「妖翳記」と三島由紀夫の「復讐」がおすすめ。第3巻ではもともと好きな作家である吉行淳之介の「出口」と稲垣足穂の「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」がよかったです。タルホのこの作品はほとんど全編カタカナなので、作品集でも今まで飛ばしていたのですが、今回初めて読んで、そのシュールさにびっくりです。物の怪の意味不明な攻め方(巨大なすりこぎとすり鉢が目の前に出現するとか)がすごい。主人公がそれに全く動じないのもカッコイイ。誰か映像化してくれないかな〜。

b0062149_375115.jpgここで、その粋な文体に興味を持ったので、久生十蘭の作品を読んでみようと、講談社文芸文庫の作品集を読んでみました。博識を持ち、色々な題材を扱いこなす大変器用な人だと思いました。一方で色んなイメージに取り囲まれて、つかみどころのない作家にも見えます。この作品集では「ハムレット」が面白かったですね。名前のごとく「玉取物語」もすごい話ですが。
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by poyance | 2006-01-23 03:19 |
読書記録
読んだ本がたまってきました。

『おめでとう』(川上弘美、新潮文庫)

するりとした文章が読みやすい川上さん。雑誌で読んだいくつかの短編が楽しかったのでこの短編集をチョイス。日常の中にとっぴょうしもない要素が急に介入してくるところが、心地よく思えるときとそうでないときがありました。


『オリヴァー・トゥイスト』(チャールズ・ディッケンズ、ちくま文庫)

『荒涼館』を買おうとしたらどうも品切れらしく、それに危機感を覚えてディッケンズものを買いだめ(『荒涼館』もかろうじて入手)。そのなかでつい最近ロマン・ポランスキーが映画化したこの作品を。ディッケンズは話が面白すぎて、文章を味わう間もなく読み急いでしまうのが難点といえば難点です。はやく映画が観たい。


『幸福・園遊会』(キャサリン・マンスフィールド、岩波文庫)

b0062149_22272942.jpgマンスフィールドを別翻訳でまた読み直し。人(特に少女)の心理の繊細な変化を冷静なタッチで描くのがうまい作家です。代表作の「園遊会」のほか「入り海」のような物語のない写生文などが好きです。


『遠い山なみの光』(カズオ・イシグロ、ハヤカワepi文庫)

映画化された『日の名残り』の著者のデビュー作。『日の・・』は非常に静かで、古典の香りがする小説だったのですが、こちらは曖昧さを全体に漂わせた前衛的ともいえる作品。いずれにせよ英国の現代作家の中で最も興味深い一人でしょう。他の作品ももっと読みたいです。


b0062149_22572586.jpg『マンスフィールド・パーク』(ジェイン・オースティン、中公文庫)

オースティン作品がまた文庫で登場。中盤まで会話のやりとりなどが少々長く感じることもありますが、終盤は急展開で、最終章はものたりないくらい。主人公が極端に控えめな性格で、『エマ』や『高慢と偏見』などとはまた違った印象です。しかし物語の端々にオースティンの鋭い視点が感じられ、冴えた文章が味わえます。


『夜を喰らう』(トニーノ・ベナキスタ、ハヤカワ文庫)

彼の作品を仕事で一部読む機会があったので、勉強のつもりでフランス現代作家を新規開拓。パリの夜の世界に出没する吸血鬼のような謎の男女を追うはめになった、路上生活者アントワーヌの物語。リュック・ベッソンが映画化したらはまりそうな作品です。私はこの饒舌で大げさな文体が、ちょっと苦手でした。


b0062149_23264526.jpg『博士の愛した数式』(小川洋子、新潮文庫)

去年の話題本がようやく文庫化されて購入。小川さんの小説はデビュー作から2000年くらいまではずっと読んでいたのですが、しばらくご無沙汰してました。今回久々に彼女の文章に触れましたが、とてもよかったです。前は古い学校の人気の無い理科室、のような静かで冷たくてよそよそしくて、一方でどこかグロテスクなイメージが彼女の作品には感じられました(それが魅力のひとつでもありますが)が、この本ではそれがかなり影を潜めているようです。それも万人受けした要因なのではと思います。博士のキャラクターも魅力的でしたし。
もともと小川さんが阪神タイガースファンというのは知っていましたが、彼女とタイガースというのがどうもうまく結びつかないでいたところ、小説で解決されるなんて思ってもみませんでした。それにしても江夏豊の話でこんなに泣かされるとは。
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by poyance | 2005-12-10 23:29 |
読書記録
映画のエントリーが多くなっていますが、読書も細々と通勤中に続けています(そのかわり音楽をあまり聴いていない)。ここ数ヶ月は新しいものより、かつて読んだ作品を読み直すことが多かったです。というのも、最近は新訳ブームらしく、好きな作家の作品が次々と再出版されているからです。特にもともと作品数の少ないオースティンなどの新訳は、新作の気分で読んでいます。

b0062149_14512445.jpgまずは、村上春樹の新作『東京奇譚集』(新潮社)。長編もいいけれど、短編の春樹さんもとても好きです。最初の短編は『回転木馬のデッドヒート』を思い出させる、偶然が重なる作品で、不思議な味わいをもたらしてくれます。その後の短編も、このところの春樹さんの作品に出てくるモチーフに通ずるものが多く、とはいえマンネリ感はあまり覚えることなく楽しく読めました。

お次はサマセット・モームの代表作。

『月と六ペンス』(岩波文庫)

芸術という「魔」に取り憑かれ、周囲の人間などまったくおかまいなしに振る舞う画家ストリックランドは、ポール・ゴーギャンをモデルにしたそうですが、かなりデフォルメしてあるようです。このショッキングな人物造形と、モームの語りのうまさ(ただし、冒頭は少々だるい)が小説を成功させています。

次に恩師で古本探しの達人である I 先生に探していただいた田山花袋の本を。

『縁』(角川文庫)

『蒲団』の続編というべき作品で、前作の芳子さんにあたる敏子さんに今回も主人公がさんざんふりまわされてます。駆け落ち、妊娠騒ぎを起こしたうえ、養女にまでなってるし。しかし今回の主人公は前作よりは一歩退いた地点で事態を眺めていることが多く、泣きわめいたりはしていません。読む側からしたらそれが物足りないといえば物足りない。「もう若くはない」というフレーズが全体のキーワードとなっています。


b0062149_15492100.jpgこの後、ヘンリー・ジェイムズの

『ねじの回転 心霊小説傑作選』(創元推理文庫)
『ねじの回転・デイジー・ミラー』(岩波文庫)

を。前者は幽霊ものの短編数編が入っています。『ねじの回転』の解釈はいろいろあるようですが、今回あらためて2度読み返し、幽霊潭というよりも主人公の妄想もののように思えてきました。後期に増えてくる「思い込み小説」にも通じてくるし。それでもさまざまな読み方を許してくれる点が、この作品の面白さであることは明らかでしょう。解説にあった「グロウス夫人陰謀説」というのがどんな読み方なのか、とても気になる・・

b0062149_15323777.jpg最後はオースティンの2作。

『高慢と偏見』(河出文庫)
『エマ』(ちくま文庫)

『高慢・・』はカバーおよび冒頭に先日観たBBC放送のドラマの写真が使われているので、読んでいるといやでもコリン・ファースのダーシィさんが頭に浮かんできます。この小説でいちばん面白い人物はやっぱりエリザベスのお父さん、ベネット氏と、エリザベスにふられるコリンズ氏ですね。
『エマ』もグヴィネス・パルトロウのイメージがずっと離れないまま読んでいました。今回の新訳は会話部分が少し不自然で、それが引っかかってなかなか読み進めませんでした。現代語を無理無く用いて、そのうえ当時の雰囲気も残しながら会話を訳すのは至難の業なのだなあと実感しました。
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by poyance | 2005-10-30 15:52 |
読書記録
休みに入って例のごとく読書量がガタ落ち。ここに挙がっているのは6月後半〜7月に読んだ本です。

b0062149_20421847.jpgヴァレリー・ラルボーが読みたいなと思っていたら、ちょうど岩波文庫から短編集『幼なごころ』が出ました。子どもの心を描かせたらほんとうにうまい人です。前に一度読んだけれど、冒頭の「ローズ・ルルダン」がいちばん好きです。訳者の岩崎力さんがみずから撮影した写真がところどころに挿入されていて、それがイメージをかきたててくれます。訳文自体も美しかった。

『閉ざされた庭』
『輪廻の暦』(萩原葉子)

ちょうどこの本を読んでいるときに、萩原葉子さんの訃報を聞いてびっくりしました。『蕁麻の家』の続編となるこの2作、実の祖母やおばたちに冷たく扱われ、それから逃れたいがために新しい家庭を作ったのに、さらに耐え難い日々が続き、おまけに実の母親と妹にも苦しめられ‥と壮絶な内容です。3日と持ちそうにないこの地獄のような日々を、どうしてこうも冷たいタッチで描けるのだろうか。
b0062149_2059209.jpg異常な状況なのに(特に母と妹の行動がすごすぎる)おかしさすら感じられるのは、やはり文章の力なのでしょう。

この後『アナイス・ニンの日記』を読みました。本来は日常の記録が淡々と書かれている日記を読むのが好きで、これもそうだと思って読み始めたらそうではありませんでした。彼女はシュルレアリストで、ここでは日常の記録というよりも、体験した出来事から誘発されるさまざまな思考の流れが綴られていて、かなり濃密。一気に読めず時間がかかりました。ヘンリー・ミラーとの関係や精神分析医とのやりとりなどは興味深かったです。「アントナン・アルトーと食事」なんて自分の日記に書いてみたい‥

これでちょっと疲れたのでその次は『東京に暮す』(キャサリン・サンソム)。1930年前後の日本に暮らしたイギリス人女性の手記で、日本の日常の暮らしがやさしい目でとらえられています。彼女は当時としてはかなり日本に理解のあった人ではないでしょうか。気難しい日本の職人さんもうまく扱っているようだし。さすがにたくあんと海藻は苦手なようですが。

b0062149_335419.jpg最後に、と言っても読んだのはもっと前ですが、待望の『シネマ坊主2』(松本人志)が出ました。今回も面白かったです。独自の、とはいえ非常にまともな見方をしているなあと思います。「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「ロスト・イン・トランスレーション」の回が痛快でした。「松紳」でも言ってたけど、「ペーパー・ムーン」が相当好きなんだなあ。
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by poyance | 2005-08-18 21:55 |
読書記録
b0062149_2292748.jpg商売柄もっと勉強せねばイカンのに、忙しいを理由にほとんど手つかず状態です。が、この人の本が出たら必ず読む、という人がいてそれがChristian Oster。コンスタントにMinuit社から作品を発表していて、今年も新作"L'Imprévu"が出ました。『予期せぬ出来事』という意味で、まさにオステールの小説らしいタイトルです。というのも彼の小説はまったく先が読めない話ばかりだから。今回も恋人の友人の誕生パーティーに2人して車で出発するものの、途中で恋人は風邪を引いてその車でパリに帰ってしまい、自分は仕方なく目的地に向かうのだが、ヒッチハイクをした見知らぬ男の誕生パーティーに出ることになってしまう‥‥という展開で、ラストでさらに思いもよらぬ事件が起こり‥‥といつもながらのオステール調で、それでいて飽きることなく楽しく読めました。
すでに10作以上ミニュイから出版されているオステール。日本でもついに前作の翻訳『待ち合わせ』が、宮林寛さんの訳で河出書房新社から出ました。この作品については近々CFCで書こうと思っています。

b0062149_2115187.jpgお次はディケンズの大作『デイヴィッド・コパフィールド』。英文学を教えている友人に自分の好みを伝えたらすすめられました(というより今まで読んでいなかったのがおかしい・・)。さすがのストーリーテラー! 4冊という気が遠くなりそうな量も何のその、最初から引き込まれて夢中になって読んでました。都合良すぎ!とかツッコミどころは多いですが、これだけ面白いんだからいいじゃない〜と思ってしまいます。中野好夫さんの翻訳もすばらしく、勉強になりました。しばらくディケンズ三昧で行こうかと色々文庫を買い込みましたが、ちょっとお腹いっぱいになったので、間を置いてから次の大作を読むつもり。そういえば「ユーライア・ヒープ」という名のロックバンドがいましたね‥‥。

b0062149_22102658.jpgその合間に読んでいたのが松本人志の『シネマ坊主』。「映画は見ない」と言いつつも色々よく知っています。ギャスパー・ノエ、ラース・フォン・トリアーといった監督や、ケヴィン・スペイシーが好き、というのはよくわかるな〜。イタリア映画に結構弱い、というのはちょっと意外でした。字幕や音楽の点にまで触れていたり、かなりマジメな批評本です。もうすぐその2が出るので早く読みたい!
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by poyance | 2005-06-15 22:03 |
読書記録
b0062149_22454686.jpgなかなか映画が見られない、ということで、最近読んだ本の話です。長編ばかりなので、あまり数はありませんが・・

『二人の女の物語』(アーノルド・ベネット)
『ブラック・ボーイ』(リチャード・ライト)
『人間の絆』(サマセット・モーム)

3作品とも読み応えがありましたが、「人間の絆」が最も熱中して読んだでしょうか。主人公のフィリップが人間的に弱くて、自分の進路をあれこれ変えてみたり、どうしようもない女となかなか手が切れなかったりして、やきもきしながら読んでました。モームの自伝的要素が強く、前に読んだ『お菓子と麦酒』とは違ったリアルさを感じました。当時のイギリスでは、フランスに「不良の国」のイメージがあったのでしょうか、パリで画家をめざそうとするフィリップに、親代わりの叔父さんが大反対する、というのが面白かったです。『二人の女の物語』でも、対照的な姉妹がそれぞれ人生を送る場所としてイギリスとフランスが出てきますが、海峡を隔てたこの2国の対比は、さまざまな小説に登場して興味深いです。
『ブラック・ボーイ』は南部アメリカでの黒人を扱ったもので、初めて読むジャンルの小説でした。作者は黒人ですが、単に横暴な白人たちを非難するのではなく、自分たちも彼らの前で卑屈になっている様子を冷静にとらえています。会話もどぎついし、悲惨な話も多いのですが、読ませる力をもった小説だと思います。

b0062149_272362.jpg日本の最近の小説もめずらしく読みました。

『グランド・フィナーレ』(阿部和重)
『ナラタージュ』(島本理生)

前々から気になっていた前者が芥川賞をついに受賞したので読んでみましたが、これは今ひとつピンと来なかったです。一人称の小説ですが、この文体と主人公である筆者の性癖がうまく結びつかず、違和感を抱いたまま最後まで読んでいました。んー今度は『シンセミア』にトライしてみよう。『ナラタージュ』の作者はまだ二十歳だそうですが、例の芥川賞をとった二人の作品と比べると、非常に読みやすい好感のもてる文章です。内容は、20年前に読んだら心底共感できるだろうなあ、と思いました(年寄りの発想だ・・)。「完成度が高い」と評されていましたが、まだまだ質の高い作品を生み出せる力をもった人だと思うので、今後に期待しています。
ところで、知人が主催するフランス語とフランス文化のブログサイトに参加することになりました。今後、フランス関係の映画・音楽・小説の感想はこちらに投稿します。ご興味のある方はぜひこちらもご覧ください!

CYBER FRENCH CAFE
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by poyance | 2005-04-27 02:23 |
このところ読んだ本、買った本
b0062149_20161326.jpg『或る女』からずっと日が経ってしまいましたが、読書は細々と続けています。映画と違って本の感想は何となく書きにくいので、ついつい先のばししていたら、何を読んだかもあいまいになってしまいました。思い出せるものだけ挙げてみると

『神楽坂・茶粥の記』(矢田津世子)
『木乃伊の口紅・破壊する前』(田村俊子・途中で挫折)
『天上の花ー三好達治抄』(萩原葉子)
『愛の生活・森のメリュジーヌ』(金井美恵子・途中で挫折)

などです。女性作家のものを続けて読みました。講談社文芸文庫さまさまです。この中では『天上の花』がダントツに面白かったです。「純粋な人」と接するにはこちらもエネルギーが要るなあと思いました。
この後またイギリスものが読みたくなって

『女相続人』『国際エピソード』(ヘンリー・ジェイムズ)
『大転落』(イーヴリン・ウォー)
『お菓子と麦酒』(サマセット・モーム)

と続きました(ヘンリー・ジェイムズは英文学ではないけれど)。ヘンリー・ジェイムズはやっぱり面白いなあ。「大転落」は独特のユーモアに馴れると楽しめます。『お菓子・・』は最初がしんどかったんですが、中盤からは一挙に読めました。今度は「人間の絆」にトライしようと思います。今は『二人の女の物語』(アーノルド・ベネット)を読んでいますが、目下仕事が休みに入り、家にいると映画やテレビをどうしても見てしまうので、読書量は大幅ダウンしてます。読書はもっぱら通勤電車の中なので・・
他にも森茉莉を読み返したり、林芙美子関係の本を読んだりもしましたが、それは割愛。
買った本は、色々ありますが、アジア関係の食文化と雑貨関連のものと、古本が多かったです。いちばん嬉しかったのは国書刊行会の『ヘンリー・ジェイムズ作品集』の読んだことのないものを手に入れたことです。装丁も美しくて気に入っています。ただ読むにはちょっと重たい本なんですが・・。
ところで、スカパーのシネフィル・イマジカでBBCのTVドラマ『高慢と偏見』を放送しています。3回シリーズの第1回を見たのですが、小説にわりと忠実で、色々思い出しながら楽しみました。ミスター・ダーシィはコリン・ファースが演じています。それ以外のキャストはあまり知らない俳優さんたちですが、なかなかイメージに合っていると思いました。特にミスター・ビングリーとミスター・ベネット(エリザベスのお父さん)はいい感じ。またオースティンが読みたくなってきました。
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by poyance | 2005-02-16 20:55 |
『或る女』(有島武郎)
はあー。ようやく読み終えました。古本屋で激安で買ったカビくさい本だったこともあって中盤からは「早く終われ〜」と思いつつ読んでおりました。ちょうどこれを読む前に斉藤なずなの「千年の夢」(マンガだと知らずに買ったんですが、面白かったです)というのを読んでいて、与謝野晶子がこの小説の主人公の葉子さんに感激しているシーンがあり、当時の女の人には「自由な女性」像として映ったのかもしれません。田山花袋とか徳田秋声の小説にもこういう女の人が出てきたように思うんですが、文人の方々のお好みなんでしょうか?? 私はこの葉子さんどうも好きになれません。感情的で、プライド高くて男を翻弄しまくりだけど、結局は男に依存していないと生きていけない人なんですよ。後半なんかは嫉妬に狂って妄想がふくらみっぱなしで、周囲はたまったもんじゃありません。その後半は葉子の「思い込み」がいろいろ働いて、どこからどこまでが実際の話なのかがわかりにくくなっていて、ちょっと後期のヘンリー・ジェイムズのようですが、こちらは文章が大げさなのでキツイです。
葉子よりも、妹の愛子さんのほうが思いを秘めているようで、でも最後まで何を考えているかよくわからない謎めいた描かれ方をしていて、ずっと興味深いです。愛子を中心にして読んでいったらもっと面白いかもなあ。それから葉子の恋人の倉地は、最初佐藤浩市なイメージで読んでいたんですけど、「〜ないわい」だの「〜だろうて」だのミョーにおじいさん口調で、ギャップを感じながら読んでました。
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by poyance | 2004-11-21 17:31 |


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