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2013年 05月 05日 ( 2 )
ホーリー・モーターズ Holy Motors
b0062149_16453167.jpg監督:レオス・カラックス 
公開年、制作国:2012年、フランス/ドイツ

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。カラックスの13年ぶり(!)の新作であり、Les Inrocks や、自国映画に厳しい「カイエ・デュ・シネマ」誌が2012年のベストワンに選んでいる、というだけでも期待が高まる。とはいえほとんど事前情報なしに観たので、最初「え? ナニナニ?」とわけわからなかったのだが、だんだんと状況がわかってきて可笑しく楽しく観られた(特に前半部分は最高)。ポスターからもわかるように、デヴィッド・リンチが多分に意識された作りで、映画館の描き方、犬の使い方、最初に登場する船のような家をはじめ、運転手のセリーヌやあざのある男といった登場人物まで、『マルホランド・ドライブ』や『ロスト・ハイウェイ』などを彷彿とさせる。

しかし、ここではリンチだけでなく作品自体がさまざまな映画へのオマージュになっていて、それもストレートではないカラックス流の味付けがされたオマージュである。ネタバレになるので詳しくは言わないが、『ゴジラ』や『キング・コング』やジャック・ドゥミのミュージカル、はたまた大島渚の『マックス・モナムール』にいたるまで、色々な映画が複数組み合わされたり断片的に用いられたりして引用されている。すでに主人公の名前がオスカー(アカデミー賞!)という時点でこれは映画のための映画なんだなと思うべきだろう。『汚れた血』でのヌーヴェル・ヴァーグへのオマージュ(ジュリエット・ビノシュ演ずるアンナはまさにゴダール作品のアンナ・カリーナの引用だった)を考えれば、スタイルは違えどカラックス自身は変わらず、ということを表しているのではないだろうか。

その『汚れた血』のことを回想したジュリー・デルピーが「カラックスは、こちらが映画のことで意見を言うと、『〜監督はこう言った、‥監督はこう撮った』と言って反論した」と語ったのをどこかで読んだことがある。自分の分身ドニ・ラヴァンを今回も主人公に据えることで、オスカーは過去の巨匠たちに敬意を持ちつつも、その呪縛から逃れられない自己の姿なのであり、オスカーが永遠に演じなければならないように、自分も映画の世界から逃れることはできない・・(そして作品もなかなか作れない・・)という複雑な心情が描かれているように思えた。

ドニ・ラヴァンはその監督の期待に応えて、縦横無尽に動き回っている。オスカーは彼じゃないと絶対できないだろう。エヴァ・メンデスやカイリー・ミノーグといった女優の人選がすごく意外だったのだが、配役を観たら納得。カイリーがなかなかいい味を出していた。

『TOKYO!』で出てきたメルド君が今回も登場して大暴れ。『TOKYO!』ではよく理解できなかったのだが、今回はそれがうまく消化されて作品に溶け込んでいる。結構慎み深い(笑)性格もわかり、この場面がいちばん楽しかった。

ところで最後の5分間はなくていいんでない?と思った。この部分さえなければ文句なく傑作と言えるのになあと思う。残念・・
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by poyance | 2013-05-05 17:38 | 映画
愛、アムール Amour
b0062149_16124858.jpg監督:ミヒャエル・ハネケ
公開年、制作国:2012年、フランス/ドイツ/オーストリア

シネリーブル梅田にて鑑賞。なかなか観に行く機会ができなくて映画館だと無理かなと思っていたら、意外とロングランしていてやっと観ることができた。内容が内容だけに今他人事のように思えず平常心で観られないかなあと思っていたのだが、やはりハネケ特有の淡々とした演出のおかげであまり感傷的にならずに観終えることができた。

音楽に携わる仕事をしてきたインテリの夫婦を主人公に、彼らのプライドを次々と傷つける事態が続き、それに対応しきれないでいる彼らの姿が容赦なく描かれるさまはいつもながらのハネケ作品であるが、最後のシーンにだけは珍しくある種の「救い」(それもやはりハネケ流の「救い」と言ったらいいのかもしれない。決して甘くはない)が感じられる。フランスを舞台にしているせいもあるのか、映像もやわらかい印象である。作品としてはパルム・ドールやアカデミー賞受賞も納得の出来だけれど、ハネケ作品として観ると、緊張感の漂う『白いリボン』や悲しいおかしみの漂う『ピアニスト』の方が個人的には好みかな・・

主演二人の演技は申し分なくうまいので彼ら二人を観るだけでも価値はある。世間ではエマニュエル・リヴァのほうがクローズ・アップされているみたいだが、私はジャン=ルイ・トランティニヤンも負けず劣らず素晴らしいと思う。この人若いときはちょっとキザな感じがしてあまり好きではなかったんだけど、『トリコロール赤』で年を取った彼の演技を観てからとても好きになった。二人の話すフランス語はゆっくり、はっきりしていてとてもわかりやすいので聞き取りの練習にもなります。
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by poyance | 2013-05-05 16:42 | 映画


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