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読書記録
だいぶ前から書いていないので、読んだ順もあやふやですが、いちおう書名だけでも記しておきます。今回から出版社もできるだけ書くようにします。


b0062149_23131455.jpg前回、アゴタ・クリストフの C'est égal (Seuil) のことを書くのを忘れていました。ほとんどが数ページで成り立つ短編集で、読みやすいフランス語で書かれているので、学習教材としても使えそうです。ただし話はどれもブラックな展開なので、決して後味のよい作品とはいえないですが。彼女の作品はいつも面白いので、以前仕事に使った Hier という小説も全部読みたいなあと思っています。





b0062149_2314378.jpgまたもや古本探しの達人 I 先生が見つけてくださったヘンリー・ジェイムズの『嘘つき』(福武文庫)を嬉々として読みました。短編3本のどれも味わい深くてよかったですが、特に「五十男の日記」の真相のわからぬままのどんでん返しが好きです。H・ジェイムズものは後に『ヘンリー・ジェイムズ短編集』(渓水社)も読みました。こちらは初期の短編3本を集めたもの。「デイジー・ミラー」の進化型とでも言うべき「パンドラ」がよいです。でもここでのキーワード「新しいタイプのアメリカ女性」って結局どんな人なんだろう。



この後おそらく『女獣心理』(野溝七生子、講談社文芸文庫)を読みました。往年の少女漫画に通ずるきらびやかな世界観とドラマチックな筋書き。陶酔して書いている感が強いので、少々疲れるところもあります。同じタイプのように見えても、森茉莉みたいに、どこか外側から眺めてそんな自分を笑っている部分がある人のほうがやっぱり面白い。


急に読みたくなって漱石の『坊ちゃん』『三四郎』『それから』(すべて新潮文庫)を連続読み。『坊ちゃん』はもちろん痛快。『三四郎』の、これといった筋がなくまったりと進む物語と、時折からむ幻想的な場面がよかった。『それから』は森田芳光の映画の配役で読み進めてました。


b0062149_23142345.jpgその後またイギリスものへ。今度はカズオ・イシグロの『わたしたちが孤児だったころ』(ハヤカワepi文庫)です。前半はモディアノの『暗いブティック通り』みたいで、このままあいまい路線で行くのかと思ったら、終わりのほうで推理小説みたいにほとんど謎解きされていました。個人的には『遠い山なみの光』のような、はっきりしない終わり方のほうが好きですが、これはこれで読み物としては面白いです。先日出た新作も思わず買ってしまい、近々読む予定。




b0062149_23144711.jpg最後はヴァージニア・ウルフの『灯台へ』(岩波文庫)。三部構成になっていて、第一部ではある日の夕方から夜にかけての、一家族と周辺の人々の心理が、まるで編み物の毛糸をするするとほどいていくように、めんめんと語り続けられていくのに対して、第二部では、夜の描写の間に十年間がすっ飛ぶ。そしてその十年後が第三部という時間の流れがすごい。キャサリン・マンスフィールドにライバル心を燃やしていたそうだけれど、描写の繊細さ、という点ではマンスフィールドが、小説構成ではウルフが面白いでしょうか。一気にはなかなか読めないけれど、別の作品も読みたいなと思いました。
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by poyance | 2006-04-29 20:58 |
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