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読書記録
まず2005年度のベストテンについては、最近のものをほとんど読んでいないので、割愛することにしました。ただ昨年読んでいちばん面白く感じた作品を上げるとすれば、クリスチャン・オステールの "L'Imprévu" だったでしょうか。邦訳されるのを期待しています。

b0062149_2381070.jpg年末年始は創元推理文庫から出ている『日本怪奇小説傑作集』シリーズ( 紀田順一郎・東雅夫/編)を読んでいました。全3巻もので、最初は1巻だけ読もうと思っていたら、選者のセンスが自分の好みと非常に合っていたので、全部読むことにしました。全巻表紙が田中恭吉の作品というのも乙です。明治から年代順に作品が集められており、明治〜大正時代の作家に興味のある自分には、やはり年代の古い第1巻がいちばん面白かったです。こういうアンソロジーは、普段絶対読まないような作家や苦手で敬遠している作家の作品に触れる機会が得られるのですが、今回も新発見が多々ありました。
第1巻の大佛次郎の「銀簪」なんて、ラストはゾクッと来ましたねえ。谷崎潤一郎の「人面疽」や川端康成の「慰霊歌」(本当はどちらも苦手な作家)、江戸川乱歩の「鏡地獄」はどれも発想が突拍子もなくて驚かされました。村山槐多の「悪魔の舌」や夢野久作の「難船小僧」(文体が粋)も強烈だし、何よりも特異な文体に圧倒されるのが泉鏡花。一度腰を据えてじっくり読みたいものです。第1巻はその他の作品も傑作ぞろいです。
年代が新しくなってくるにつれ、オーソドックスな「ホラー」っぽい話が多くなってくるところも意外でした。第2巻では久生十蘭の「妖翳記」と三島由紀夫の「復讐」がおすすめ。第3巻ではもともと好きな作家である吉行淳之介の「出口」と稲垣足穂の「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」がよかったです。タルホのこの作品はほとんど全編カタカナなので、作品集でも今まで飛ばしていたのですが、今回初めて読んで、そのシュールさにびっくりです。物の怪の意味不明な攻め方(巨大なすりこぎとすり鉢が目の前に出現するとか)がすごい。主人公がそれに全く動じないのもカッコイイ。誰か映像化してくれないかな〜。

b0062149_375115.jpgここで、その粋な文体に興味を持ったので、久生十蘭の作品を読んでみようと、講談社文芸文庫の作品集を読んでみました。博識を持ち、色々な題材を扱いこなす大変器用な人だと思いました。一方で色んなイメージに取り囲まれて、つかみどころのない作家にも見えます。この作品集では「ハムレット」が面白かったですね。名前のごとく「玉取物語」もすごい話ですが。
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by poyance | 2006-01-23 03:19 |
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