CFCに投稿する書評の資料として、同じ原作の映画を3本立て続けに鑑賞しました。
「危険な関係」(ロジェ・ヴァディム、1959年、フランス) まずは本国フランスでの作品。舞台を現代に置き換えたものです。何といっても、メルトゥイユ夫人を演ずるジャンヌ・モローが圧倒的。冷酷で、気位が高く、権力欲が強く、それでいて気品があるこの女主人公を抜群の存在感で演じています。一方でヴァルモン役のジェラール・フィリップは確かにプレーボーイ風の甘いマスクなんですが、人の良さがにじみでちゃって、あんまり悪い人に見えません。ヴァルモンとトゥールベル夫人の物語に重点が置かれていて、メルトゥイユ夫人のしたたかさがあまり描かれていなかったので残念。せっかくダンスニー役がジャン・ルイ・トランティニャンなんだから、もっとメルトゥイユ夫人とのやりとりを入れてほしかったなあ。フランス文学に興味のある方は、プレヴァン役でボリス・ヴィアンが出演しているのも必見です。 それからこの当時のファッションも見もの。ジャンヌ・モローが黒い服にしていたパールのネックレスの重ねづけや、セシルやトゥールベル夫人のドレス姿が、とても素敵です。 「危険な関係」(スティーブン・フリアーズ、1988年、アメリカ) お次はアメリカ作品ですが、監督はイギリスの人ですね。これはかなり原作に忠実に作られていて、メルトゥイユ&ヴァルモンはグレン・クロースとジョン・マルコヴィッチという、かなり濃いキャラのお二人。ちょっと悪人顔すぎませんか?? 演技はどちらもうまいけれどイメージが違いすぎる・・ 純情で無知なセシル役にユマ・サーマンや貞淑で信仰心の厚いトゥールベル夫人役にミシェル・ファイファーっていうのも・・うーん、キャスティングがあまり納得できない作品でした。唯一ダンスニー役のキアヌ・リーヴスが「ボクちゃん」って感じでよいです。 「クルーエル・インテンションズ」(ロジャー・カンブル、1999年、アメリカ) 最後は現代アメリカの若者版。この物語を昨今の高校生たちで展開させてもじゅうぶん通用する、というのはやはり原作がいかに傑作かということですよね〜。しかし、俳優たちの多くがおさない感じで、なんだか背伸びした学芸会みたいな雰囲気です。ヴァルモン役のライアン・フィリップ君はどうしても頭が良さそうに見えない・・。そしてトゥールベル夫人にあたるアネット役のリース・ウィザースプーンは前に見た「ハイスクール白書」の印象が強くて、優等生を演じていても何かウラがあるように見えてしまう・・(そしてこの2人は実生活では夫婦・・)。人種差別やゲイの要素を話に盛り込むのは面白いけれど、B級の域を脱していないように思いました。すぐれた文学作品を映像化するのはやっぱり難しいのですな〜。
by poyance
| 2005-06-08 23:09
| 映画
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