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ブンミおじさんの森 Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives
b0062149_15502188.jpg監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
公開年、制作国:2010年、イギリス/タイ/フランス/ドイツ/スペイン

昨年のカンヌでパルム・ドールを獲得した作品をようやくレンタルDVDで鑑賞。コンペ部門の審査委員長だったティム・バートンが「見たこともないファンタジー・・美しく奇妙な夢を見ているようだった」と語ったがごとく、こういう構成・内容の作品は欧米系のものにはまず見られないだろう。過去に世を去ったり姿を消した家族が、たとえ幽霊や猿の精霊という形で現れても、人々は(もちろん最初は驚くが)それを穏やかに皆受け入れて自然に接しているのであり、それが突飛と思えないのはやはり舞台がタイの神秘的な森林だからだろうか。湖や洞窟も含めて自然の描き方が興味深かった。



b0062149_16302482.jpgとはいえ映画はオカルト方向に走っているわけではなく、ほのぼのとしたホームドラマ的な要素もあって観ているととても和んでくるのだ。幽霊に「(夕食の)残り物でよければ食べる?」とすすめてみたり、猿人と変わり果てた息子に「ずいぶん毛深くなったね」とやさしく声をかけたり、ほかに誰がこんな脚本を考えつくだろうか。



b0062149_16304545.jpgそしてまた映画はファンタジーに徹することもなく、不法移民、経済発展と引き換えに失われていく伝統、政情不安といったタイの問題もふまえて、この国の現状を描いた作品ともなっている。昨年のカンヌの審査員はバラバラなタイプの人がそろっていたが、ティム・バートンと(審査委員のひとりだった)ヴィクトル・エリセとの接点を考えたとしたら、この映画が最高賞というのは妥当かもしれない。



b0062149_16313231.jpg俳優はほぼ素人という面々で、お世辞にも演技がうまいとは言えないのだが、ひとりひとりに味があってよかった。ブンミ役のタナパット・サイサイマーの穏やかな雰囲気と義理の妹ジェン役のジェンチラー・ポンバスの意思の強そうな顔が対照的で面白かった。


ウィーラセタクン作品をほかにももっと観てみたい。中島敦の『山月記』をモチーフにした『トロピカル・マラディー』あたりDVD化されないだろうか・・
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by poyance | 2011-12-11 16:33 | 映画
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