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冬休みの情景  Winter Vacation 寒假
b0062149_18494966.jpg監督:リー・ホンチー
公開年、制作国:2010年、中国

BSプレミアムから録画したものを鑑賞。毎年アジアフィルムフェスティバルに合わせて、アジア諸国のレアな作品を放映してくれるのを楽しみにしている。今回、ひさびさに強烈な作品を観た。建物がえんえんと映され、呪文みたいなアナウンスが流れる最初のショットからもう釘付けに。タイトルどおり、若者たちの冬休みを中心に何ということもない生活が描かれ、ぱっと見はアキ・カウリスマキや初期ジャームッシュ、あるいはデビュー時の山下敦弘の作品などを思い出させる。しかし、脱力系とはいえないような停滞した不穏な空気が常に流れていて、やはりそこは中国映画なのかなと思う。

b0062149_185081.jpg映画は決して重苦しいわけではなく、笑いを誘う場面も多い。老人と孫の会話や、白菜を買うシーンなど大好きだし、ラストも最高。しかし、後で監督のインタビューを読んでみたら、「あれは笑わせるためではなく、uneasy な気持ちにさせるためのもの」で、閉塞的な状況への絶望感が根底にあるようだ。最後に「孤児になる」と家を飛び出した少年についても、それは自由への希望ではなく、逆に結局は決して自由にはなれないことを表しているのだという。中国にはアントワーヌ・ドワネルは存在しないということなのか・・ 彼の好きな映画人はエドワード・ヤン、イ・チャンドン、そしてミヒャエル・ハネケとのことで、ベケットも愛読しているそうだから、かなり生真面目な人のように思える。

b0062149_18503328.jpg俳優は素人を多く使っているらしく、俳優らしい顔の人がほとんどいない(笑)が、かえってそれがリアルな効果を生んでいる。逆にインテリアはとてもスタイリッシュに見えるし、建物や空間のとらえ方がユニークでカッコイイ。音楽も独特で、合間合間に流れるスローな曲は耳について離れなくなる。最後になって初めて静けさを打ち破るがごとく大音量で流れる曲もすごかった。やっぱりこの監督はパンクな人なんだ。インパクトが強すぎて3回くらい映画を観直してしまった。
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by poyance | 2011-10-19 19:22 | 映画
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