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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン、2007年、アメリカ)
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン、2007年、アメリカ)_b0062149_2154449.jpgWOWOWから録画したものを鑑賞。冒頭にえんえん続く、静かながらもスリリングな掘削作業のシーンからもう目が離せなくなる。2時間半以上もある映画で、もちろん長さは感じるのだけれど(今回も切れ切れ鑑賞だったが・・)常に緊迫感があってダレることはなかった(しかし観終わった後はぐったり疲れた)。石油に異常に執着する孤独な男プレインヴューと、「神」を盾に彼から金をせしめようとする牧師イーライとの確執が中心に置かれるが、この二人は方向は違えども何らかの欲に取り憑かれた者として同じように描かれているようだ。

プレインヴューは誰も信用しないと主張すれど、「息子」や「弟」を常に身近に置くなど家族愛に飢える男であり、それだからいっそう彼らの裏切りが発覚したときの態度は容赦ない。イーライは狂信的な信仰を示しながらも、自分の土地に固執し、プレインヴューに執拗につきまとうときなどはまったく牧師に見えない。この二人の男の複雑なあり方の描写が面白く、内容としては非常に重苦しいのだけれど、「マグノリア」よりもずっと楽しんで観られた。

ダニエル・デイ=ルイスのプレインヴューの演技は圧倒的といえるほどで、オスカー受賞は妥当であるが、この彼にイーライ役のポール・ダノがまったく引けを取らなかった、ということの方がすごいのではないだろうか。これまでのポール・ダノ君は脱力系またはヒッキーな感じの役ばかりだったので、イーライ役は彼の新境地を切り開いたといえる。彼の今後に大いに期待したい。

音楽はレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが担当。これまた抽象的で不安を煽り立てるようなサントラで今までに聴いたことのないような音ばかりで、これも新鮮だった。
by poyance | 2009-11-01 21:06 | 映画
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