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「ションヤンの酒家」(フォ・ジェンチイ、2002年、中国)
前作「山の郵便配達」がとても好きで、今回もあんなゆったりとした素朴なタッチなのかと思っていましたが、今回は都会が舞台で、主人公も女性です。おまけに一人で店を切り盛りするこの勝ち気なションヤンのまわりでは、父親との不和、弟の麻薬中毒、兄夫婦との家の取り合いなど家族の問題のうえに都市開発問題までからみ、唯一彼女の救いに見える素敵(?)な男性も実は・・と複雑な現代社会の縮図のよう。一方で映像がとても美しく、「山の・・」では陽のあたる壮大な自然の景色が見ものでしたが、今作ではションヤンが店を開く夜の、ぼやんとした明かりが照らす場面がきれいでした。また彼女が弟のいる施設に行くときにのるロープウェイが印象的で、巨大なビル群からのびた細いコードにたよりなげにぶらさがっているその小さな乗りものは、都市化の波とその裏での現実とのあいだに挟まれたションヤンの姿を象徴しているかのようでした。「ションヤンの酒家」(フォ・ジェンチイ、2002年、中国)_b0062149_12194242.jpg
前作とは正反対みたいですが、「山の・・」で主人公の青年が父親の後を継いで、車ではなく足での郵便配達を選ぶように、ションヤンも結局ずっと暮らしてきた昔ながらの街にとどまるほうを選ぶんです。ションヤン役の女優も言っていたけれど、彼女は「古風」で、そして「古風」であることをキッパリ選択している・・そんなにすんなり決められるもんかな〜とちょっと思いました。その点、同じように急速に都市化する中国で宙ぶらりんに生きる青年達を描いたジャ・ジャンクーの「青の稲妻」のほうがずっとリアルに思えました。
とはいうものの、ションヤンがすごく魅力的なんですよ。彼女のファッションとか、メイクや髪型が可愛いんです。パールのマニキュアとかしたくなっちゃいました。彼女が住んでいる家のインテリアとかも素敵だし、お店のハエよけ装置(?)までいちいち可愛いし。ションヤンと対照的なのが弟の恋人役の女の子で、おヒゲまで生やしちゃって「田舎から出てきた子」を見事に体現してます。ところで私はこれをDVDで見て、それには特典映像でションヤン役の女優さんのインタビューが入ってるんですが、その人が同一人物??と思えるくらい映画のションヤンと違うんです。メイクと髪型でああも変わってしまうのか・・。ションヤンのときのほうが素敵です。
それとアジアの映画は、出てくる食べ物がみんなおいしそう。ションヤンのお店の名物は「鴨の首」なんですが、どんな味なんだろう。そして首以外の部分はどうなっちゃってるんだろうか?? 子供が食べててションヤンが辛すぎるとケチをつけた焼きそばでさえ味が気になりました・・
by poyance | 2004-11-16 23:22 | 映画
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